2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

エネルギー, 環境, 世界遺産・地域の文化財等, 持続可能な生産と消費

2020年度活動の概要

今年度は新型コロナウイルスの影響で、新年度が5月末からとなり、約2ヶ月遅れのスタートとなった。ほとんどの学校行事が中止となり、思うような活動ができなかったが今年度行った活動を3つ紹介します。

1.小中高連携による地元世界遺産を盛り上げる取り組み(3年目)

今年度3年目となる小中高連携で行っている地元世界遺産宮原抗(三池炭鉱関連遺産)を盛り上げる取り組みの一貫として大牟田市立駛馬小学校より、宮原抗立て坑櫓をグラウンドに絵が描けないかという依頼を受ける。今年度で5周年目を記念したイベントを計画予定していたが新型コロナウイルスの影響で中止に。そのため学校のグラウンドに実物大の立て坑櫓の絵を描くことを計画され、依頼された。小学生3年生・4年生を対象に地元の世界遺産である宮原抗の立て坑櫓大きさを知ることが、目的であった。

本校の土木系工作部を中心に作業に取り掛かる。まず、市が持ってきた図面が縮小に合っていないことから、新たに100分の1スケールで図面を書き直し測量を行った。トータルステーションという測量器械を使用し、線を引く角度と距離を測定。40本ほどの杭を打ち白線で結び高さ約21.2メートル 横幅約22.5メートルの東側から見たやぐらを描くことができた。小学生達は完成した絵の横を歩いて歩幅で大きさを測ったり、校舎の上から眺めたりして、当時日本は鉄などの材料が少ない中、こんな大きな物を造ったのかと思い関心していた。

 

2.地元の地域貢献活動

大牟田市立みなと小学校トラック造り

令和2年7月の豪雨で浸水被害を受けた大牟田市立みなと小学校のグラウンドを土木系工作部の5人が、トラックの測量とライン引きを実施。日頃学んでいる測量の技術を発揮しトラックを復旧させた。みなと小学校のグラウンドは7月の豪雨で水没。その後、子供たちの安全確保のため土の入れ替えや整地を行っていたが、トラックの白線や目印の杭が失われてしまい、徒競走などの運動に支障を来していた。本校同部は小学校のグラウンドトラックの測量や中学校のテニスコートやサッカー場の測量など積極的に協力しており、今回みなと小学校からの依頼を受け快く引き受けた。部員らは測量器械(トータルステーション)を使い角度と距離を測量して目印の杭を打ち白線を引き1周112.8メートルのトラックと50メートル直線トラック6レーンを描いた。「小学校側から正確なトラックを造ってもらえて感謝しています。10月の体育発表会で活用したい」と話された。

   

3.地域貢献「大牟田動物園向け機器の製作」

大牟田市動物園勤務の本校卒業生より「動物園で使用する自動給餌器を作りたい。電子回路を考えてほしい。」と依頼があり、これを始めて3年が経過した。現在までラマ用、モルモット用の自動給餌器、及びミニブタブラシを納入している。現在(今年度)は猛獣用の自動給餌器製作中である。なお、製作した機器は寄贈ではなく納入である。これは動物園から部品代を頂いているからです。ラマとモルモットのエサはペレット状の乾燥したものですが猛獣用の餌は水分を含んだ肉の塊ですので、今までと勝手が違い、大変時間がかかっている。

生徒から「本当に作れるのだろうか、不安いっぱいだったが完成した時は、こんなに嬉しいことはない。いろいろ悩んだが最後までやって良かった」と声があがった。

試行錯誤を繰り返し、ものを作っていく経験の中で悩んだり苦しんだりしながら完成した時の感動は、私達工業高校のものづくりの醍醐味であり、将来必ず役に立つと思う。そして、この様な取り組みが地域貢献にも繋がり、一石二鳥三鳥となった。今後は、キリンの自動給餌器の製作を行う予定もあり、ものづくりを通して地域貢献を行いたい。

   

来年度の活動計画

1年時:校内パテントコンテストを実施し、柔軟な発想力や工夫により、諸課題を解決しようとする態度を育成する。

2年時:インターンシップを実施し、地域や社会に貢献しようとする態度を育てる。

3年時、:科目「課題研究(総合学習)」において、エネルギーや環境問題に関する調査・研究を通して省エネルギーを推進する取り組みのできる生徒、地球環境問題に積極的に取り組み広い視野と創造性にあふれる行動力をもった生徒を育成する。また、大牟田市が近代産業における中心であったことを学び自覚と誇りをもった生徒を育成する。

 さらに、「ものづくり教室」や「出前授業」、これまでの学習成果を地域に還元することで知識の定着を図り、教えることの難しさ、地域に貢献できる喜びを醸成する。

・地域遺産保全のための清掃活動では、活動への取組状況を自己評価させ、活動後の感想文にまとめさせる。感想文は教師が評価し、コメントを生徒に伝える。

・校内パテントコンテストでは、生徒の製作作品を教師が評価・表彰する。優秀な作品は、全国大会へ出品する。

・課題研究(総合学習)では、全校生徒の前で1年間の成果を発表する場を設け、製作作品、発表内容、プレゼンテーション力を総合的に判断し、評価を行い、校長が各発表に対してコメントを行う。また、インターンシップでお世話になった企業を招き、企業紹介や本校生徒の活動内容を見ていただき、今後の地域貢献活動に繋げる。

・ものづくり教室と出前授業では、参加した児童・生徒の評価をもらうと同時に生徒の自己評価を基に教師が評価・コメントを生徒に返す。