2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 国際理解, 平和, 人権

本校は、「真理・真実を追求する人間的自立」を学校理念として、ESDを人類が築いた人権や平和の概念を核に国際理解や文化の多様性ととらえ、ESDの実践を通して人類自らが平和で持続可能な国際社会や自然環境を守り育てる力の育成を目標としている。

 

具体的には、国際理解、環境、人権・平和を3本柱に、①文化の多様性にかかわる学習、②地域の産業かかわる学習、③平和にかかわる学習を行っている。

 

今年度もコロナ感染症の影響を受けて感染予防に配慮しつつ、①~③について取組を実施した。特に②地域の産業かかわる学習③平和にかかわる学習にかかわっては、社会見学や修学旅行の実施時期や活動内容などを慎重に検討して、児童に必要な経験と学びが実現できるように心がけた。

 

①文化の多様性にかかわる学習

本校の外国語活動・外国語では、英語の学習とともに、「言語・文化」という分野を設けている。この分野では、様々な国の言語の規則性を知る中で、母語への気づきと理解を深め、言語を裏打ちしている文化の多様性に気づくことをねらいとした学習を行っている。私たちは、この学習を積み重ねることで、インクルーシブな発想を子どもたちに育みたいと考えている。また、この学習プログラムを加えることで、英語だけでなく世界の言語に自ら触れる機会を見いだす契機になることを目指している。

 

②地域の産業にかかわる学習

人々のくらす地域の文化、気候、人々の知恵が交わり、地域の地場産業が見いだされ継承されている。本校では、2年では乳牛を育てているU牧場での牛を生活科や図画工作科の学習を通して学んでいる。3年では、総合や社会科の学習を通して、附属自然環境教育センター実習園での米づくりを田植えや稲刈り・収穫の体験を交えて学んでいる。4年では、社会科を中心に大和高原のお茶づくり、日本の植林による杉(吉野杉)の育て方を学習し、さらに「吉野山地と川上村の林業」につなげている。「吉野山地と川上村の林業」の学習に関わっては、昨年度に引き続き奈良県南部の東吉野小学校とオンラインで交流することができた。

このように子どもたちは、地域の自然環境を生かし、人々の知恵と相まって築き上げられた地場の産業の本質性を、現地に行って自分の目で見、話を聞くことによって、仕事をする現場、人、道具、製品のつながりを通して学んでいる。地域の豊かな自然と人々の営みの結びつきの中で構築される文化性は学ぶ価値があり、人の労働が社会の大きな支えになっていることを豊かに学ぶことを目指して今後も取り組んでいきたい。

③平和にかかわる学習

平和学習は、1)ヒロシマでの学習、2)全校に平和を伝える学習を行った。今年度は、「ユネスコスクールSDGsアシストプロジェクト」の助成を受け「平和をつくる」プロジェクトとしても実施した。このプロジェクトでは、「『ヒロシマ』を訪れて平和を願う気持ちを強く持ち、そのことを全校に伝える。さらに『平和をつくる』ことを自分ごととして捉え行動した人の話を聞き、自分たちにできることを考えて行動につなげる」ことを大事にしたいと考えた。

1)ヒロシマ修学旅行

5月下旬のヒロシマ修学旅行では、1日目には被爆者の中西巌さんの話を被爆した建築物である被服支廠(ひふくししょう)で聞くことができた。また、十分な時間を確保して平和資料館の見学をすることができた。2日目には平和記念公園の碑の見学、被爆者の梶本さんのお話を聞くことができた。被爆されたお二人から話を聞けたことは、子どもたちにとっても貴重な機会となった。修学旅行の最後には学んだこと、考えたことを現地のまとめ集会で語り合い、平和について「伝える」意味を共有できた。

2)全校に平和をつたえる学習

本校では、6年生がヒロシマ修学旅行で学んだことを1年~6年の縦割りグループの中で全校に伝えることを毎年積み重ねている。今年度は、ヒロシマ修学旅行のことだけでなく、京都の「世界の子どもの平和像」を見学したこと、東京の「世界の子どもの平和像」を作るために行動した白神優理子さんの話を聞いたことも縦割りグループの活動で6年生が話をした。1年~5年の子どもたちが分らないことはさらに説明を加えたことで、最後には一人一人の子どもの思いや考えを聞き合うことができた。

来年度の活動計画

本校では、これまで積み重ねてきた各学年の学習(取組)をESDの視点で見直している。来年度は、各学年で特に大事にしてきた取組を整理し、ESDカリキュラム作成につなげるとともに、さらに取組を深めたり他の教科と関連したりできないか検討していきたい。

また、世界情勢に目を向けるとロシアのウクライナ侵攻の中で多くの命が奪われ、多くの人が傷つき苦しんでいる現状がある。平和学習については、児童自身がヒロシマで学んだことをもとに、自分たちの願いとして平和についてどう考え、行動できるか考えられるように取組を進めたい。