2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 平和, 人権, 持続可能な生産と消費

環境, 国際理解, 平和, 人権

本校は、「真理・真実を追求する人間的自立」を学校理念として、ESDを人類が築いた人権や平和の概念を核に国際理解や文化の多様性ととらえ、ESDの実践を通して人類自らが平和で持続可能な国際社会や自然環境を守り育てる力の育成を目標としている。

具体的には、国際理解、人権・平和、環境を3本柱に、①文化の多様性にかかわる学習、②地域の産業かかわる学習、③平和にかかわる学習を行っている。

今年度もコロナ感染症の影響を受けて感染予防に配慮したことで、これまでと同様の実施は難しかった。②③の学習にかかわっては、社会見学や修学旅行の実施時期の慎重な検討及び対策をした上で、児童に必要な経験・学びを実現することができた。

 

① 文化の多様性にかかわる学習

本校の外国語活動・外国語では、英語の学習とともに、「言語・文化」と言う分野を設けて、様々な国の言語の規則性を学び知る中で母語への気づきと理解を深め、言語を裏打ちしている文化の多様性の中でつかむことをねらいとした学習を取り入れている。そのことはインクルーシブな発想を育むことにつながると考えている。そして、そのための学習プログラムを加えることで、英語だけでなく日本語、ひいては世界の言語に自ら触れる機会を見出す契機になることを目指している。

 

② 地域の産業にかかわる学習

人々のくらす地域の文化、気候、人々の知恵が交わり、地域の地場産業が見出され継承されている。2年では、給食で飲んでいる牛乳を生産するために乳牛を育てているU牧場での牛の学習、3年では、附属自然環境教育センター実習園での米づくりを田植えから稲刈り収穫まで学ぶ。このことは、降水量が少ない奈良盆地では米づくりのためにどのように水を得てきたのか(ため池)の4年生の学びにつながる。4年では、大和高原のお茶づくり、日本の植林による杉の育て方を学ぶ。このことは「吉野山地と川上村の林業」につながる。

地域の自然環境を生かし、人々の知恵と相まって築き上げられた地場の産業の本質性を、現地に行って自分の目で見、話を聞くことによって、仕事をする現場、人、道具、製品のつながりを通して学んでいる。地域の豊かな自然と人々の営みの結びつきの中で構築される文化性は学ぶ価値があり、人の労働が社会の大きな支えになっていることを豊かに学ぶことを目指している。

 

③ 平和にかかわる学習

平和学習は1)ヒロシマでの学習、2)全校に平和を伝える学習を行った。

1)ヒロシマ修学旅行

本校の6年生はヒロシマ修学旅行にむけて、今年度の学習のめあてを「〇世界で初めて核兵器が落とされたヒロシマの地で、自分の目と耳を通して、原子爆弾の被害(爆風・熱線・放射線)やおそろしさを学ぶ。

〇広島で学んだ事実をもとに、自分の考えをもち、自分のことばで全校のなかまに伝える。

〇めあてにそって自分たちで考え、周りのことと先のことを見通して行動する。」として取り組んだ。

事前学習として、国語:「たずねびと」、「平和の砦を築く」、社会:「15年戦争」、音楽:「白い鳩」、夏休みの平和学習の知り合い、3つのひろしま、3つのひがいなどを学んだ。

11月下旬のヒロシマ修学旅行では、1日目は被爆者の中西巌さんのお話を被爆した建築物である被服支廠(ひふくししょう)で聞くことができた。また、十分な時間を確保して平和資料館の見学をすることができた。2日目は平和記念公園の碑の見学、被爆者の梶本さんのお話を聞くことができた。2日間、具体的なものと人のつながりの中で学びを積み重ねることができた。最後には、ヒロシマで学んだこと、考えたことを現地のまとめ集会で語り合い、学ぶ中で平和について「伝える」意味を共有できた。

2)全校に平和をつたえる学習

12月、ヒロシマ修学旅行で学んだことを1年~6年の縦割りグループの中で全校に伝えた。全校から集めた折鶴をどのようにしたのか、そして何より一人一人が学んだことを縦割りグループの中で語った。1年~5年の子どもたちが分らないことはさらに説明を加え、最後には他の学年の子どもたちがどのように思ったり考えたりしたのかをフィードバックしてもらうことができた。

来年度の活動計画

来年度の活動計画

今年度もコロナウイルス感染症の影響のため修学旅行が延期になり、これまでのような学習の流れを創ることが出来なかったが、改めて平和にかかわる学習では、ヒロシマ修学旅行を核にした事前、事後の取り組みを含めた1年を通しての取り組みが大きな意味を持っていることを確認できた。ヒロシマ修学旅行で学ぶ被爆遺跡、被爆者のお話、今に続くその後の平和のとりくみなど、子どもの『学びがい』をどう生み出すかは毎年の課題である。6年生の実態に合った学びになるように、そしてさらに平和学習が深まるように取組を進めていきたい。次年度は5月下旬にヒロシマ修学旅行を実施計画している。国際理解にかかわっては核兵器禁止条約が発効し、平和の取り組みは一歩前に進んでいる。児童自身が、学んだことをもとに、自分たちの願いとして平和についてどう考え、語り継ぐ意味を見出せる取組を計画していきたい。