2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境

千坂小学校の周辺には、たくさんのレンコン田が広がり、地域の特産物となっている。また、学校近辺には、「千坂ネイチャーフィールド」という学校園もあり、自然に親しむことができる。平成23年度から、ユネスコスクールの認定を受け、地域や環境をテーマとして、持続発展教育の実践に取り組んでいる。

1.1年生の取り組み「しぜんとなかよし」

 本学年は生活科を主としながら、地域の自然や地域の人とかかわることを通して、それらに関心を深めるとともに校区に対する親しみがもてるようになることをねらいとしている。

「きせつとあそぼう はるがいっぱい」の単元では、地域の公園へ行き、春見つけをした。春の草花や生き物と触れあい、季節を感じることが出来た。「なつだいすき」の単元では、春との違いを見つけ、季節の変化と自然の変化に気付いた。「あきといっしょ」では公園で秋見つけをした後、秋の自然物を利用して、おもちゃ作りを楽しんだ。学年全体で交流して楽しむために、各クラスでおもちゃを使ったゲーム作りや体験コーナー作りを工夫し、改良を重ねて「秋のおもちゃランド」を行った。また、授業参観日に実施したので、保護者にもお客さんとして参加してもらうことができた。児童は、来てくれた人と積極的にコミュニケーションをとり、意欲的に活動していた。本単元を通して、児童が地域の自然や人に関心を深め、それらに親しみがもてるようになっていると思われた。

2.2年生の取り組み 「まちたんけん ~千坂のすてきをみつけよう~」  

 生活科で春「どきどき わくわく まちたんけん」と秋「もっとなかよし まちたんけん」の2回、町探検を行った。1回目の町探検では、3つのコースに分かれて交番や介護施設、自動車学校、公民館などに出かけ、施設にどんな物があるのかどんな所なのか、場所に親しみを持つことをねらいとした。秋にも春と同じ場所に出かけ、一緒に活動させてもらった。地域の人や、地域の施設で過ごす人とクイズやゲームなどを通して関わることで、更に地域を身近に感じることができた。

 その後、2回の探検を通して見つけた地域の魅力を「千坂のすてきを見つけたよ発表会」でほかのコースの人たちに伝えた。発表会ではその魅力をどんな方法で伝えたらいのかグループごとに思考し、ニュースや新聞、紙芝居、パンフレットなど様々な方法で表現することができた。この学習を通して、地域の方と進んで関わろうとする姿が見られ、「大人になっても千坂の町に住みたいよ」と地域に愛着を持つことができた。

3.3年生の取り組み 「金沢の和菓子・茶道文化を学ぶ」

 3年生では、金沢の和菓子・茶道文化について栄えた理由を調べたり、体験したりする学習に取り組んだ。2学期にはものづくりマイスターをゲストティーチャーとして招き、和菓子作りを体験した。児童は、職人の技の巧みさや、職人は日頃から努力をしていることに気づくことができた。また、金沢で伝統的に食べられている和菓子に興味を持つことができた。その後の調べ学習では、由来や食べる時期などについて調べ、今まで深く考えずに和菓子を食べていた和菓子に意味が込められていると気づき、金沢の和菓子に対する見方が変わった児童が多かった。

 この学習を通して、職人や地域の人の和菓子に対する思いを知り、金沢の和菓子への興味関心が高まった。氷室饅頭など、金沢で築かれてきた和菓子・茶道文化を大切にしようとする意識を持つことができた。

4.4年生の取り組み 「ぼくたち地球防衛隊」

 ごみ処理とその再利用の課題、水の浄化作用等の社会科学習と関連させて、総合的な学習の時間には、自分たちが環境保全のためにできることを考え、実践することに取り組んだ。また、海外で難民の人たちが困っていることを知り、その人たちのために自分たちができることはないかを考えた。そして、「難民の子ども達を笑顔にするために不要になった子ども服を集めよう」というめあてを立て、着られなくなった子供服を集める取り組みを行った。全校児童に向けて、集会で呼びかけたり、校内にポスターを貼ったり回収箱を設置したりした。また、こども園、学童、町会にも活動を知らせ、定期的に回収を行った、その結果段ボール箱20箱分の集まった子供服は、企業を通じて、難民の人たちに送ることができた。「ぼくたち地球防衛隊」の学習を通して、現在学校で取り組んでいる自分たちの取り組みがエコ活動や誰かを助けることにつながっていくことを実感し、地球環境を守っていくのだという意識を育てることができた。 

5.5年生の取り組み 「千坂の宝!加賀レンコン」

 千坂の特産物である加賀レンコンの秘密を探るため、地域のレンコン農家の方の指導のもと、レンコンを栽培した。10月にはレンコン掘りをして収穫の大変さと喜びを体験し、試食をしてみてさらに加賀レンコンの魅力を知った。ところが、この加賀レンコンを栽培する農家の数が減っていることやあまり知られていないという問題点を知り、12月に「レンコンフェスティバル」というイベントを開く計画を立てた。ちらしを配ったりポスターをはったりして地域のお客さんを集める集客隊。加賀レンコンの様々な魅力を地域の方に向けて発表する発信隊。どのように調理するとおいしいか考えてレシピを配りながらレンコンを販売する販売隊。3つの隊に分かれて準備と活動をした。当日は、たくさんの地域の方が来校され、子どもたちは加賀レンコンを守ることができたと感じることができた。

6.6年生の取り組み 「いいね金沢 魅力発信!!」

自分達の住む金沢についてより詳しく知るために、社会の歴史分野とも連携しながら金沢の名所について調べ学習を進めた。2学期には、金沢が「歴史都市」「ユネスコ・クラフト創造都市」に認定された意味を考え、「金沢のすばらしさを他の県の人に伝えよう」というテーマで調べてきた。「金沢の名所」や「伝統工芸品」、小学生がおすすめする有名スポットなどについてまとめ、留学生に紹介した。これまでも名所や伝統工芸について学習したことはあったが、今回さらに詳しく調べ、調べたことを伝え合うことによって、文化を継承している人の努力や金沢の魅力をさらに知ることができた。全国的にも注目されている金沢だが、「金沢がますます好きになった」「他の県の人にもっときてほしい」「伝統を守りながらさらに発展していってほしい」と言う思いをもつことができた。

来年度の活動計画

 本校は、ユネスコスクール加盟9年目になり、各学年が総合的な学習の実践を重ねてきた。これまで課題としてきた校内への発信と地域との関わりも、前年度の実践を生かしながら繰り返して板についてきた。各学年で行うESDカリキュラムのゴールの活動がはっきりしたのも成果である。来年度は、活動ありきの単元にならないよう、“何のためにその活動をするのか”“何のために調べるのか”といった相手意識や目的意識を改めて児童に考えさせながら学習を進めていきたい。