2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 環境, 国際理解, 平和, 人権, 福祉, 健康, 食育, 貧困, ジオパーク

 本校の教育理念である「自立と共生」を具現化する活動としてESDを位置づけ、これまでのSSHやSGHの連携に加え、ユネスコスクールのネットワークを活用してグローバルな発信力を高め、持続可能な社会の担い手である女性グローバルリーダーを育成する活動を推進する。本校では、①「ESD研究プロジェクト」、②「グローバル環境科学プロジェクト」、③「グローバル探究プロジェクト」を実施した。

「ESD研究プロジェクト」や「グローバル環境科学プロジェクト」では、総合的な学習の時間<探究の技法>や校外学習、各教科の指導において、発達段階にあわせた指導を行う。国際的諸問題への関心を高め、持続可能な開発に関する知識、価値観、行動といった資質を身につける。人や社会、自然環境の「関わり」「つながり」を尊重することや、人類と地球の存続の基盤となる平和を希求し、積極的にその維持、発展に尽力しようとする姿勢、資質を育む教育活動を実践する。
「グローバル探究プロジェクト」では、大学との連携や、海外連携校との交流や共同研究、様々なネットワーク活用を通して、持続可能な社会作りに関わる課題を見いだし、それらを解決するための能力や態度を身につけるための協働型プロジェクトにより実践力を育成する。

①ESD研究プロジェクト
 中学では、総合的な学習の時間<探究の技法>や学活を活用して、ESD活動で求められる基本的な知識、視点を具体的な体験を通して学び、探究の基盤を育成する。高校では、国際教養、理数キャリア、スポーツ科学の各コースの視点から、私達が直面している課題についてESDの視点を踏まえて探究活動に取り組む。

・ファンデーションプログラム(中1)コース別研究Ⅰ・Ⅱ(中2・3)
 身近な現象に着目し、課題に取り組む探究の基礎を作る。コース毎にESDの視点を意識したテーマを決め調査・実験などの探究活動を行い、9月の学園祭や中3研究発表会(2月予定)で成果を発表した。
・校外学習・修学旅行の活用やESDワークショップ(中学)
 各学年の校外学習(中1:都電、中2:横浜、中3:鎌倉)や修学旅行(京都・奈良)により歴史的・地理的アプローチを組み合わせ、時間軸と空間軸を意識した複眼的視野を養成する活動を行った。また、福祉講話・聴覚障害体験、誕生学講演、世界の子どもたちのワークショップなどを行い、命の尊さ、共生の意識、直面する課題などへの理解や価値観を育む活動を行った。
・ESD研究(高1)
 コースの特徴を生かしながら、ESDの視点を盛り込んだ課題研究のテーマについて探究活動を進め、9月の学園祭、12月の研究成果報告会でその成果を発表した。夏休みのグローバルスタディーズセミナー(国際教養)では、SDGsの理解を深めるためSDGsカードゲームを行い、外国人講師とのトークセッションでは「食料・水・教育・貧困」に取り組んだ。外務省やJICA、ユニセフの施設への訪問などを上記の探究活動に繋げた。

②グローバル環境科学プロジェクト
 ヒト・動植物の生命活動や社会活動に大きな影響を与える地球環境について、生徒自身によるフィールドワークを中心に科学的理解を深め、環境問題を考えるESDの活動として醸成させる。

・文京ジュニアサイエンスプロジェクト in 妙高(中1~3希望者)
 火山活動によって造られた自然環境で、源流体験や登山、自然観察などの体験学習によって、自然界のしくみ、自然と人とのつながりを体感し、話し合いや発表しあう楽しさを学んだ。
・マレーシア・サイエンス研修(高2理数キャリア)
 地球科学的に貴重なジオ多様性と、その生態系や地域文化に高い価値があり、世界ジオパークに認定されているマレーシア・ランカウイ島やフリム森林公園研修でのフィールドワークで、熱帯の自然環境を学び、各自の課題についての探求学習を行い、その成果を共有する。(2月予定)

③グローバル探究プロジェクト
 大学との連携や、海外連携校との交流・共同研究などを通した協働型プロジェクトとして実施する。ESD活動の発展的かつ実践的な取り組みとして実施する。成果報告会で発表・共有する。

・アジア研究(高1・2)
 大学講師の指導協力のもと、中国、台湾、マレーシア、シンガポール、タイといったアジアの国々を対象に、地域研究・異文化研究・国際関係研究・言語研究についての課題研究を実施し、その成果を学園祭、12月の研究成果発表会で発表した。
・研修旅行プロジェクト(高2)
 シンガポール(国際教養)やオーストラリア(スポーツ科学)での現地研修を中心に、現地校との交流を含めた活動を実施する(2月予定)。ESDの視点も踏まえ、事前事後指導・探究活動を実践する。
・タイ・サイエンスフェア(理数キャリア)
 タイの海外連携校(1月)と本校(4月)のそれぞれの学校において、日頃の課題研究成果を発表・共有しあうサイエンスフェアを実施した。英語による交流のため、選抜された派遣生徒(高2)に約半年の指導を行った。受け入れでは全生徒が関わった。共同研究では「茶葉に含まれるポリフェノールについて日本・タイの比較」を取り上げた。
・海外語学研修(高1・2)
英語運用能力の向上、異文化理解体験を活用した交流・連携の実践の場とした。
St Benedict EIC(アメリカ)、UK BEST(イギリス)

来年度の活動計画

 平成30年度の実施内容を、平成31年度も継続して取り組む。さらに、生徒の内発的な問いを立てる力や、探究スキルを習慣的に活用して、自律的に深い学びを進めることができるよう、論理的思考力を養成する取り組みを重点的に進めたい。カリキュラムマネジメントにより、教科間で補完・活用しながら生徒の主体的・協働的な活動を促す。今年度取り組んだ「外国人講師とのコラボレーションで、外国人の視点から見た日本史のテーマを英語で考える」といった授業もさらに推進して、SDGsのグローバルな視点を育む。