2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 環境, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等

本校は,「思いやりと活力に満ちた鮎川小学校」を学校経営理念として掲げ,以下のようにESDの目標を設定した。

1 様々な人やもの,自然と関わり合う豊かな体験を通して,課題を追求する態度を養うとともに,人やもの,自然とのつながりを実感する。
2 世界の様々な国の事情を知り,自然災害,貧困,人権,平和,開発,環境等の現実社会の課題を自らの問題として捉え,それらを解決する活動に持続的に取り組もうとする意識を高める。

具体的には,SDGs「11 住み続けられるまちづくりを」を柱に,(1) 防災・安全教育に係わる活動(2) 地域の伝統文化継承に係わる活動(3)地域の自然の豊かさを体験し, 守ろうとする活動を設定し,実践する。

(1) 防災・安全教育に係わる活動
①防災副読本を活用した防災学習

宮城県教育委員会及び石巻市教育委員会が作成した防災教育副読本を活用した防災教育年間計画を作成し,毎月1回,業前活動に「防災の時間」として防災学習を実施している。
②地域想定避難訓練

地域とのつながりを大切にした防災教育として,学校だけでなく,地域(海辺)での避難訓練を実施や地域に残る津波の碑の清掃活動に取り組んでいる。
③セーフティプロモーションスクール(SPS)としての活動

今年度,大阪教育大学学校安全推進センターよりセーフティプロモーションスクール(SPS)として再々認証された。災害安全はもちろん,交通安全や生活安全にも力を入れており,今年度からは交通安全に重点的に取り組んでいる。地域の駐在所と連携した交通安全教室や防犯教室,教職員と児童が合同で行う施設安全点検を実施している。

(2) 地域の伝統文化継承に係わる活動
地域の伝統文化を伝え,地域に元気を与えることを目標に,「子供七福神舞」と「牡鹿銀鱗太鼓」の伝承に取り組んできた。昨年度からは,新型コロナウィルス感染拡大防止に努めながら,運動会や学芸会を家族のみの参観という形で開催し,その中で発表してきた。

特に,牡鹿銀鱗太鼓は,総合的な学習の時間等に位置づけ,教育活動の中心に置いて計画し,全校児童で取り組む形にして,その伝統を引き継ぎながら実践してきた。11月には,石巻市の「日本遺産『みちのくGOLD浪漫』追加認定記念式典」での演奏の依頼を受け,式典のオープニングを飾ることができた。

今年度もまた「地域に元気を届けたい」という児童の純粋な思いを大事にしながら,地域の方々とのつながりを大切にしてきたことで,児童は,少人数ながら「自分たちがこの鮎川地区の伝統文化継承の担い手である」という自覚を持ち,自ら進んで活動に取り組むことができた。

(3) 地域の自然の豊かさを体験し, 守ろうとする活動
①全校校外学習
学校から徒歩圏内に,遊歩道や広場等が整備された「清崎憩いの森」がある。その中に「学校浜」と呼ばれる浜辺があり,かつては,学校行事で利用し,海に親しむ活動をしていた。今年度,復興が進んできたことを機に,校外学習の活動場所として活用することにした。今回は,牡鹿半島ビジターセンターの職員に講師を依頼し,森の散策や磯遊びのガイドをしていただいた。普段は体験しにくい磯辺の自然に親しんだり,講師の専門的な説明により,地域の自然に対して意欲的に学んだりすることができた。

②牡鹿地区3小学校合同産業学習
牡鹿地区3小学校の5・6年生対象に,牡鹿地区にある地域の自然・文化・歴史・産業等について,地域のゲストティーチャーの指導のもと,体験学習を行っている。今年度は,漁業協同組合での魚の水揚げや製氷工場の見学,捕鯨会社での当日解体されたクジラや加工場の見学,ホエールタウンおしかでのホエールランドや捕鯨船の見学,鯨ひげストラップづくりに取り組んだ。直接見たり触れたりする体験ができたことにより,海の恵みを生かした地域産業への理解や関心を深めることができた。

来年度の活動計画

本校は宮城県の東端の半島部に位置しており,海に囲まれた環境であることから,地域は東日本大震災で甚大な被害を受け,人口減少や産業の低迷などに直面しながら復興してきている。

このような地域の中の学校として,(1) 「防災・安全教育に係わる活動」(2)「地域の伝統文化継承に係わる活動」(3)「地域の自然の豊かさを体験し,守ろうとする活動」を取り入れ,「住み続けられるまちづくりを」考えてきた。これらの学習を通して,児童は地域について初めて知ることが多いと感じている。

今後は,地域に足を運んで学ぶ機会を積極的に設定して経験を重ね,主体的に取り組む活動につなげていきたい。