2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

海洋, 環境, 文化多様性, 国際理解, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 食育

粟島浦小中学校は、日本海に浮かぶ人口約350人の離島にある。島内に高校はなく、中学校を卒業し進学する際には、家を離れ、本土で生活することになる。15歳で自立を求められるため、9年間を見通した社会性の育成が求められている。そこで、当校では、目指す児童生徒の姿を「何事にも主体的に取り組む児童生徒」とした。総合的な学習の時間や特別活動の時間を中心に「地場産業と関連づけた体験学習「他地域の学校との交流学習」「地域を知り、地域を守る学習」を行っている。また、一昨年度より中学校を中心として海洋教育を推進し、海をテーマにした活動や総合学習を教科横断的な視野に立ちながら実践している。

① 地場産業と関連づけた体験学習

ア わかめ採り(小中学校合同)

島伝統の地場産業であるわかめ養殖を、毎年、わかめ巻き(11月)、収穫(4月)、販売のサイクルで体験している。今年度も4月のわかめ収穫の際には、保護者や地域ボランティアの協力を得ながら活動を行った。50年以上の歴史がある「わかめ採り」は、親や祖父母世代が体験してきたものであり、ボランティアで参加してくださる地域の方すべてが講師である。この活動で商品にされた乾燥わかめ、めかぶ、茎わかめは、村民や観光客に販売し、収益を児童生徒会費として毎年、学校の教育活動に有効活用している。

イ 枝豆の栽培体験学習(小中学校合同)

学校の近くに畑を借りて、粟島で多く栽培されている枝豆「ひとり娘」を栽培している。種まきや収穫の作業は全校児童生徒で取り組み、中学生を中心に草取り活動も行ってきた。平成27年に中学生が総合的な学習の時間に考えたひとり娘を使った枝豆アイスが委託販売され、島内外で販売されている。栽培した枝豆はその原材料して利用されている。

② 他地域の学校との交流学習(小学校、中学校)

毎年小学校は年1回、中学校は年1回、他校を訪問している。今年度は、中学校は春、小学校は秋にそれぞれ1回ずつ訪問活動を実施し、社会性を育成することができた。また、県内外の学校とオンラインによる遠隔交流学習を行うことができた。

③ 地域を知り、地域を守る学習

ア 粟島の浜清掃活動(全校児童生徒)

6月、小中学校で組織される児童生徒会が主体となって清掃活動を行った。自分たちが水泳授業で使用したり、海水浴で賑わったりする粟島の浜をいつまでもきれいに保ちたいという願いを込めての活動である。活動では、空き缶や空き瓶、漂流物など、様々なごみが捨てられていたが、これらのごみを一つ残らず拾うことができた。この活動をとおして地域の自然を自分たちの手で大切にしていこうという意識の高揚が見られた。

イ 粟島の海の美しさを学ぶ学習(小学校、中学校)

粟島自然体験学校の方を講師に招いて小・中学生が隔年で実施していたカヌー教室を昨年度より毎年実施に改めた。これにより海洋教育がより一層推進され、小学生と中学生全員が粟島の海の美しさを体感することができた。

ウ 粟島の「よさ」を知り、発信する活動(中学校)

今年度は、小学校創立130周年という節目の年であることから、今まで小学校が隔年で行っていたわっぱ煮作り体験を小中合同で行った。わっぱ煮とは粟島に昔から伝わる郷土料理のことである。また、総合的な学習の時間において中学3年生は、粟島を発展させるために自分たちで何ができるかということをテーマに、粟島で採れた枝豆やジャガイモを使ったパン作りを提案した。今後、中学2年生が粟島を持続再生社会にしていくためには村としてどのような取組をしていかなければならないかを提案していく。全校児童生徒を始め、職員や村民の方々からアンケートをとり、それをまとめて令和5年2月の総合発表会に発信していく予定である。

来年度の活動計画

①地場産業の体験学習

わかめ採り、枝豆の栽培体験学習、大謀網体験、自然教室(カヌー体験)、わっぱ煮作り体験

②他地域の学校との交流学習

小学校(村上小学校) 中学校(神林中学校) オンラインによる遠隔地との交流授業

③地域を知り、地域を守る活動

浜清掃、クリーンアップ作戦(村主催)