2019年度活動報告
本年度の活動内容
生物多様性, 海洋, エネルギー, 環境, 文化多様性, 世界遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, その他の関連分野
当校はESDを地域における課題解決型学習や国際問題に対する探究活動と捉え、創造科学科(40名)および、普通科学校設定科目「グローバルリサーチ」受講者(40名)対象に「文理の枠を超えた学びを通じて、複雑で正解のない問題の解決に主体的に挑戦しよう!」をテーマに活動した。この活動の目標は、ESDの実践を通して「社会創造力」「科学的思考力」「複眼的思考力」「自律的活動力」を育成することである。具体的には、①地域における課題解決に係わる活動、②国際問題探究に係わる学習、③自然科学研究に係わる学習を行った。
① 地域における課題解決に係わる活動
学校設定科目「創造基礎」において、創造科学科1年を対象に、学校所在地の神戸市長田区の地域課題解決学習および実践活動を行った。おもなテーマは、長田港の漁獲量減少の課題に対して植林による海水の富栄養化を図る「海と人と山でつなぐ『長田漁場』」や、少子高齢化や外国人居住者の増加による地域の結びつきが希薄となっている課題に対しておもちゃ作りを通して世代間交流を図る「トイズキッチン」などである。
11月24日、神戸市長田区にあるふたば学舎で行われたイベント「まちの文化祭2019」にて、当校生徒が多文化共生をテーマに考案した「長田フォー&ぼっかけバインミー」を神戸ベトナム人会と共催で販売を行った。長田在住のベトナム人から料理を教わり、そこに長田名物とのコラボ料理を考え販売し、地域住民から好評を得た。さらに販売時に配布した資料を通じて生徒と神戸ベトナム人会の思いを伝え、地域における多文化共生の一助とした。
② 国際問題探究に係わる学習
学校設定科目「創造応用ⅠL」において、創造科学科2年を対象に、SDGsにもとづく国内を含む国際問題について研究し、課題解決のための提言をおこなった。おもなテーマは、「労働組合による同一労働同一賃金の達成~産業別組合を中心とした組合形態への改革~」「難民申請者の待遇を改善に関する提言」「日本の女性の管理職増加の方策~ベトナムの事例をもとに~」などである。また、グローバルリサーチ受講者も同様に国際問題について研究した。おもなテーマは、「京都における観光公害防止の方策」「ベトナム・インドネシアタイ産カオのカオポリフェノール含量と気候条件に関する研究」「年間死者数70万人!? 薬剤耐性菌」などである。
③ 自然科学研究に係わる学習
学校設定科目「課題研究」において、創造科学科1年を対象に、神戸大学大学院人間発達環境学研究科の大学院生とともに共同研究をおこなった。おもなテーマは「絶滅危惧種を守れ!~アユとミナミメダカの生息する環境調査~」「光合成効率の鍵!~植物によるRuBisCO量の調査~」などである。また、学校設定科目「創造応用ⅠS」において、創造科学科2年を対象に、大学教授等とともに研究をおこなった。おもなテーマは「採集場所による泥燃料電池の起電力の違い」「発電効率の高い安価な太陽光パネルの研究」「外国人にとって日本らしさとは~店の外観から考える~」などである。
来年度の活動計画
今年度同様、創造科学科およびグローバルリサーチにおいて地域の課題解決型学習、国際問題の探究活動、自然科学研究を実施していく予定である。これらの活動に加え、全校生でSDGsを意識したテーマ設定や解決策の提案を探究活動として実施していく予定である。そのために、活動目的を明確にし、かつ円滑な学習ができるような教材開発とそれらを用いた指導方法の考案を次年度の課題としたい。 当校では、2年生でベトナムとイギリスに研修旅行を実施している。今年度、それぞれの国において、ESDの観点からのプログラムを企画し、実施することができた。次年度は両国の生徒との協働学習を実施していきたい。また、その学習内容にSDGsを目指すプログラムを実施できないか検討をしていきたい。 |