2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 環境, 世界遺産・地域の文化財等, その他の関連分野

当校は、「わが町不動寺・ふるさと不動寺」を活動テーマとして、ESDを「人間性を育むこと」と捉え,ESDの実践を通して「ともに学び合い,高め合う子の育成」を目標とした。具体的には,総合的な学習を柱に,①環境に係わる活動、②金沢市の伝統文化に係わる学習,③生物多様性に係わる学習,④地域の文化財等に係わる学習を行った。

① 環境・伝統文化に係わる活動

3年生は学校の裏山を活用したシイタケ栽培を通して里山利用の学習を行った。森林再生課や地域の農家の方々の協力を得て,伐採されたホダ木を利用し,2年時の3月にシイタケの菌を植えた。3年時では,成長を観察する中で,シイタケの生育しやすい環境やどんな世話が必要かを学び,1年を通して活動した。

また,2学期には和菓子職人に和菓子の作り方を教わった。金沢の和菓子の美しさや職人技を目にし,児童は感動しているようであった。この活動を通して森に携わる人々や和菓子の伝統を受け継いでいく人々の考え方や「本物」に触れる素晴らしさを感じることができた。

② 金沢市の伝統文化・地域遺産に係わる教育

4年生は,金沢の伝統工芸の学習の中で,今年度は「加賀象嵌」について学んだ。加賀象嵌作家で人間国宝の中川衛氏から,作品にかける思いや苦労など多くのことを学んだ。児童は自分の手で加賀象嵌の作品を体験した。金沢の偉人調べでは,児童が興味を持った偉人について学び,壁新聞にまとめ,多くの人に発信した。

社会科の学習と関連した河原市用水の歴史について,「水土里ネットかわらいち」河原市用水土地改良区の方に来ていただき,紙芝居や話を聞くことができた。実際に用水を見学したり調べたりして,先人の苦労や業績を知ることができた。

③ 生物多様性に係わる学習

5年生は,地域の方の田を借り地域の方々の指導や支援を受けて,米作りに取り組んだ。手作業による田植え,稲の観察や生き物調べ,稲刈りやはさがけの作業など,古代米作りを体験した。今年度も,田んぼに生えた雑草を手で抜く作業も行った。収穫に至るまでに,様々な苦労や工夫があることを学んだ。収穫した古代米を,もみすりをして食べられる状態にする作業も見学し,流通前の苦労を知った。PTA行事で実際に販売し,売るための工夫も学ぶことができた。人と人が関わり合う活動の中で,今と昔の作業の仕方や生産者や販売者の立場で考えたり,人の優しさに触れたりして,情緒面でも多くのことを学んだ。

④ 地域の文化財に係わる学習

不動寺地区は古代・中世の頃から栄えた地区であり,歴史的な伝承話もいまだに残されている。城址や寺院などの歴史的な建造物について調査を行ったり,文献を読んだりして不動寺地区の歴史を探った。地域の歴史を受け継ぐために,学校の伝統として『不動寺っ子元気獅子』を毎年行い,地域の文化祭や「百万石まつり」でも披露した。このような活動を通して,この地域に住んでいることに誇りを持つと同時に,この町に愛着を感じ良さを伝えていこうという思いを持つことができた。また,秋には金沢城やひがし茶屋街を見学し,歴史や文化にも触れることができた。金沢人として,素晴らしい伝統や文化を引き継いでいきたいという思いを感じたようであった。

来年度の活動計画

来年度も,今年度と同様に活動を行う計画である。3年生は市の森林再生課の方々と連携し,シイタケ栽培を通して森林の仕組みや森の必要性を学習する。今年3月には2年生がシイタケの植菌活動を予定している。4年生は,金沢の伝統工芸の体験学習や金沢の偉人調べ学習など先人の工夫や努力を知り,伝統工芸の技に対する興味・関心をさらに高めるようにする。5年生は,古代米作りの体験活動を中心に農業に携わる人々の思いや苦労を感じるとともに,来年度は生物多様性の面からもアプローチし,医王山から流れる水の行方や水質についても学習の幅を広げられるようにしていきたい。6年生は,金沢市や不動寺地区の歴史について調査を行う。城址や寺院などの歴史的な建造物やそれにかかわったゆかりの人物について調査を行ったり,文献を読んだりして地域の歴史を再発見していく。