ユネスコスクール支援内容
1.ESD/ユネスコスクールの校内研修への支援
本学では、ASPUnivNet支援大学として、滋賀県草津市立玉川こども園に対し、園内研究会を実施した。
玉川こども園は、「ユネスコスクール」に認定されており、「自然と触れ合う体験」「思いやりの心を育てる関わり」「地域とのつながり」など、ESDの視点を取り入れた保育を実践している。その現場へESD・SDGsセンター教員、研究部員を講師として参加させ、玉川こども園の教職員に対し、公開保育や保育の振り返りをワークショップ型で行い、より持続可能な社会の創り手を育む保育の環境構成と援助の在り方について推進できるよう活動を行った。また、同市では教育委員会主催のESD/ユネスコスクール研修にも支援を行った。
その他にも、滋賀県長浜市や奈良市をはじめとする奈良県内の各学校、和歌山県橋本市や白浜町など近畿圏内の学校へのESD/ユネスコスクールに関する研修支援を行ってきた。
2.教員のESDの実践力を高める支援(ESDティーチャープログラム)
本プログラムは、持続可能な社会の創り手を育成する教育であるESDを適切に指導できる教員に求められる素質・能力を明らかにし、その力量形成を目的に実施するものである。
2025年度は、東京・愛媛・鹿児島や各小・中・高等学校等を中心に開催され、プログラムは全5回の研修で構成されており、ESDの基礎理解から授業づくり、地域連携を踏まえた実践計画の立案までを段階的に学ぶ内容となっている。受講者は対面とオンライン、オンデマンド視聴を含む講義を通してESDの理念と教育的意義を理解し、ワークショップ形式の研修では、持続可能性の課題を題材とした学習指導案の作成や、他の受講者との協働的な検討を行った。今年度は全国で、170名の教員と学生が認定予定である。これにより、ESDを単なる知識伝達ではなく、児童生徒が主体的となって課題解決に取り組む学習として構成する視点を養うことができた。
-300x225.jpg)
3.ESDの実践の発信・交流を促進するための支援
「近畿ESDコンソーシアム成果発表会・実践交流会」を2026年1月11日に開催し、オンライン参加者や発表者などを含め延べ約300人の参加があった。
午前に行われた「ESD子どもフォーラム」では和歌山県橋本市立高野口小学校、滋賀県草津市立新堂中学校、奈良県立磯城野高等学校それぞれの児童生徒によるESDの成果が披露された。発表後は、意見交流や発言が盛んに行われ、充実した内容となった。
その後、午後から行われたESD実践交流会では、近畿圏のみならず、鹿児島県や山形県、長野県などの学校、奈良県吉野郡にある森と水の源流館の取組など、計十六の実践発表があり、活発な意見交流が行われた。また、和歌山県白浜町教育長 西田拓大氏による「ウェルビーイングな社会に向けた白浜町の挑戦!」と題した講演会が実施され、「学校はウェルビーイングなパワースポットでありたい」という信念のもと、児童生徒だけでなく、教職員・地域住民も含めた“みんなが心地よく・生き生きできる場”づくりに取り組んできた事例の紹介などもあり、参加者にとってESDを推進するための新たな学びとなった。
本会は、全国各地でESDに取り組む方々が一同に顔を合わせる貴重な場であり、ESDの重要性をより肌で感じ取る事ができた。また、発表された成果や実践を各々が持ち帰り、ESDの更なる推進に活かしていける良い機会となった。

ESD活動紹介
1.ESD国際シンポジウム in Nara 2026
持続可能な社会の実現に向け、災害リスク削減(防災・減災)や気候変動、歴史文化交流をテーマに、主にアジアにおける国際的な協働研究実践と若者の参画を通じて持続可能な開発のための教育(ESD)のパートナーシップ構築を促進するため、2026年2月に「ESD国際シンポジウム in Nara 2026」を本学を会場に開催した。
基調講演にはユネスコ・ジャカルタ事務所長の林川氏を迎え、国際的視点からESDの重要性と地域との連携の可能性が示された。それに続いて午前の「アカデミックセッション」では、ユネスコIOCや国連大学、インドネシア、カンボジアの大学など国連機関及び海外の大学の研究者が登壇し、グローバルかつ学術の視点から海洋政策、教員養成、地域連携など多様なテーマで議論が展開された。
午後の「ESDセッション」では、韓国の大学、国内NPO、自治体、附属中学校などが教育現場でのESDの実践を紹介するとともに、持続可能な社会の創造のための地域社会と学校の協働の在り方について、具体的なESDの実例を通して共有した。さらに、「ユースセッション」では、韓国・インドネシア・日本の若者が未来世代の視点から課題解決に向けた取組と持続可能な社会づくりへの提案を発表し、国際的な若者ネットワークの重要性が共有された。
最後の総括セッションでは、各セッションの成果を踏まえ、国際舞台で活躍するキーパーソンからESD推進における国際協働と地域連携の深化や今後の展望について提言され、本シンポジウムが、奈良から世界へESDの新たな展開を発信する機会となったことが確認された。
2.ESD・SDGs連続オンラインセミナー
本セミナーは、持続可能な社会の実現に向けて、ESD/SDGsに関する多角的な視点や実践実例から学ぶ事を目的としている。国内外の多様な取り組みを通じて、持続可能な社会づくりに必要なアプローチや課題を探った。
第1回では、2025年大阪・関西万博を契機に、持続可能な未来社会のあり方について考える講義が行われた。万博が掲げるテーマや取り組みを通して、国際社会が直面する課題と未来への展望を学び、ESDの重要性を再認識した。第2回では、藤原京や飛鳥地域の文化遺産を題材に、地域の歴史や文化を持続可能な形で次世代へ継承する意義について理解を深めた。持続可能な地域創りにどのように生かしていけるかについても考える機会となった。第3回では、子どもの貧困問題をテーマに、現場で支援活動を行う団体の取り組みが紹介された。具体的な支援の実態や課題を知り、解決に向けての支援や取り組みについて改めて考えた。第4回では、奈良の自然環境を活かした「学び旅」の実践例が示され、地域資源を活用した体験的学習の価値について学んだ。第5回では、ホールスクールアプローチによる学校全体でのESD推進の方法が示され、組織的な取り組みの重要性を理解した。
3.2025年度 授業づくりセミナー
2025年度の授業づくりセミナーは、①「万葉集・明日香村」を中心とした授業づくりセミナー、②森と水の源流館ESD授業づくりセミナー、③春日山原始林・奈良公園フィールドワークの3つのプログラムが開催された。
①「万葉集・明日香村」を中心とした授業づくりセミナーでは、全5回の連続セミナーのうち第3回が中止となったが、第1回は明日香村内の史跡(蘇我入鹿首塚、甘樫丘、飛鳥坐神社、大原神社等)を巡るフィールドワークを通して、歌碑・景観・史実を結ぶ教材化の視点を共有した。第2回は館内見学と研究員による万葉集の話題提供を受け、理解を深めた。第4・5回は授業構想と学習指導案の検討を重ね、万葉カルタ等の活動案、卒論・実践報告を踏まえて改善点を協議した。
② 森と水の源流館 ESD授業づくりセミナーでは、Zoomによる研修(第1~4回)を実施し、川上宣言と水源地保全を軸に、ダム建設を題材としたロールプレイ、防災・海洋ごみ・食ロス・水産業/農業学習など多領域の実践を共有し、行動変容を促す発問設計と地域連携の方法を検討した。さらに2026年2月7日には対面・オンラインにて実践報告会が行われ、授業実践の報告や情報を共有しあい、大変有意義なものとなった。
③ 春日山原始林・奈良公園フィールドワークでは、年間計画に基づき、春日山遊歩道や若草山、高円山、なら燈花会等で五感を用いた観察を行い、シカの食害や倒木等の課題、夜間・早朝の環境変化を体験的に理解した。
雨天時のヤマビル等への対応など運営上の課題も抽出され、次年度の改善に資する知見が得られた。
以上のセミナーを通して、地域の自然・歴史・文化資源を統合し、探究的学習と単元デザインに接続する授業づくりの知見を蓄積した。
