ユネスコスクール支援内容
1.玉川子ども園のユネスコスクールチャレンジ
ユネスコスクール事務局より、滋賀県草津市立玉川子ども園がユネスコスクールチャレンジ期間に入ったという連絡を受け、早速3月28日に訪問しました。園長先生から子ども園のグランドデザインについて説明を受けました。「つながろう広げよう世界へ」をテーマに①環境:一人一人が地球市民、②ふるさと:大好き玉川、③栽培・食育:元気なからだ、④多文化理解:世界はともだち手をつなごう、の4つ重点項目を設け、ジャガイモやひまわり、夏野菜の栽培などを保護者や地域と連携して進めていたり、地域の達人による「萩染め体験プロジェクト」など、多様な取り組みをされており、チャレンジ期間だからと言って何か新しいことを始めるよりも、今の取り組みを持続可能な社会の創り手の育成の観点で捉え直し、保育者全員が理解して子どもたちに対応することの大切さをアドバイスしました。その後、5月8日にESD研修会、9月20日と11月15日には園内研究会に参加し、ESDを核とした保育について学び合いました。先生方のあたたかいかかわりの中で、子どもたちが元気よく育っていることを実感しました。
2.大津市立仰木の里小学校修学旅行支援
チャレンジ期間中の大津市立仰木の里小学校は、ESDティーチャープログラムの会場校となるなど、持続可能な社会の創り手の育成に熱心な小学校です。その仰木の里小学校が、11月16日(木)に修学旅行の一環で東大寺を訪問されましたので、ユネスコクラブのメンバーが、ボランティアガイドをさせていただきました。今回のガイドは単なる観光ガイドとは違い、東大寺の大仏様は奈良時代から持続可能な社会づくりに多くの市民が参加・協力してきたことを体現していることを子どもたちに伝えようと、学生たちは事前学習に取り組みました。大仏様を目にした子どもたちは、あまりの大きさに圧倒されてしまいますが、そこで終わらせないように学生たちはグループごとに双眼鏡を用意していました。双眼鏡で大仏様をよく見ると、壊れた部分をつぎはぎしているのがよく見えます。「なぜ、壊れた大仏様を最初からきれいにつくりなおすのではなく、壊れた部分を修復するといった手のかかることをしたのでしょうか?」この問いに子どもたちの頭のコンピューターがフル回転です。「難しい方を選んだのはなぜ?」「仕上がりがきれいにならない方を選んだのはなぜ?」正解があるわけではありませんので、みなさんも考えてみてください。
3.生駒市立生駒小学校ESDティーチャープログラム
チャレンジ期間中の生駒市立生駒小学校の全ての先生方を対象に、ESDティーチャープログラムを実施しました。全5回の研修会で、第1研修「SDGsの理解促進」と第2研修「ESDの学習理論の理解」はオンラインで実施、第3研修「優良実践事例の分析と単元構想案の作成」では、奈良市立朱雀小学校の中村先生を招聘し、朱雀小学校と西大寺北小学校の交流学習を紹介していただきました。第4研修「ESD単元構想案の相互検討会」及び第5研修「ESD学習指導案の相互検討会」では、各自が作成した学習計画をグループ内で紹介し、アドバイスをしあうという形式で、非常に盛り上がりました。3年生は「生駒の魅力を伝えたい」というテーマで総合的な学習に取り組みましたが、同じ趣旨で11月5日に市民活動として「くらしのブンカサイinいこま」が開催されることを紹介すると、早速連携されたようで、作品が掲示されていました。こういう柔軟でアクティブな学習はまさにESDだと思いました。
4.奈良学園小学校のユネスコスクールチャレンジ
ユネスコスクール事務局より、奈良学園小学校がユネスコスクールチャレンジ期間に入ったという連絡を受け、2月20日に訪問しました。校長先生、教頭先生より学校が目指す教育や児童像、これまでの取り組みなどについて説明を受けました。各学年とも宿泊学習があり、これを核としたESDを推進するために、学年の年間指導計画を見直しているという話でした。そこで、校訓である「尚志(高い志の実現に向かう子)・仁智(協働する喜びをもつ子)・力行(あきらめず最後までやり抜く子)」を、ESDで育てたい資質・能力に落とし込み、それを基盤とした宿泊学習のストーリーマップを各学年とも作成するよう助言しました。4月26日、7月24日、12月8日の3回の検討会を経て、各学年のストーリーマップが完成してきました。今年度は実践しながらの作成でしたが、3年生では7月の琵琶湖での宿泊学習に向けて、5月の京エコロジーセンターへの春の遠足から始まり、各教科と関連させながら、身近なくらしの中でできるエコなくらしの大切さを実感したり、家庭を巻き込んで実践していくことの大切さや難しさを感じたりする学習が年間を通して展開されていました。
ESD活動紹介
1.EARTH DAY NARA 2023に参画
アースデイとは、1970年アメリカ発祥の「地球や環境のことを考える日」です。奈良でも、4月22日(土)に奈良公園県庁前広場を会場に、アースデイ奈良2023が開催されました。奈良教育大学ユネスコクラブは、会場に設けられたステージOPEN AIR LIVE!で「身近なこととSDGsとの関連を考える」ワークショップを担当しました。このワークショップは、自分の趣味や好きなこととSDGsとの関連を見出す思考訓練です。例えば、お寺巡りはSDGsの目標11(住み続けられるまちづくり)、目標12(つくる責任つかう責任)、目標15(陸の豊かさを守ろう)に関連するのではないか、絵画鑑賞は目標16(平和)につながっているなど、真剣トークが繰り広げられました。奈良だけでなく、全国に社寺がありますが、なぜ、それらはずっと継承されてきたのでしょうか。あらためて考えると不思議です。持続可能な社会づくりのヒントがあるように思います。
2.くらしのブンカサイinいこま2023への参画
地域でのESDの活動に学生を参加させたいと考え、今年初めて「くらしのブンカサイinいこま2023」に参画しました。月2回の実行委員会にESDセンターの教員やユネスコクラブの学生が参加し、企画段階からかかわることができました。この企画の目指すところは、「市民誰もがSDGsについて理解し実践している生駒にしたい!」です。そこでは①児童・生徒・学生たちのSDGs、②SDGsで遊ぼう、③くらしの中のSDGsという3つのテーマを設定し、毎回、市民、行政、NPO、学生、企業など多様な人々が参加し、意見交流したことで、手作り感あふれるイベントをつくりあげることができました。11月5日のイベント当日、奈良教育大学ユネスコクラブは、どうしたらみんなの暮らしが持続可能になるかを考えて木の葉型の画用紙に書いてもらい、みんなの木を作っていきました。生駒市民はSDGsへの関心の高い方が多く、けっこう立派な木が育ちました!
3.東大寺開山良弁僧正1250年御遠忌法要
東大寺は盧舎那大仏を本尊とする寺院として奈良時代に開山されましたが、その初代の別当であったと伝えられるのが良弁僧正です。令和5年は、良弁僧正が亡くなられて1250回目の御遠忌にあたり、東大寺では様々なイベントが開催されました。その1つが、10月14日のご遠忌法要「練り行列」です。奈良教育大学はユネスコクラブ及びESDティーチャー受講学生が、毎年取り組まれる東大寺寺子屋に参加させていただいていることもあり、この練り行列にも参加させていただくことができました。奈良教育大学の学生でなければ参加できない、また今年しか参加できないという貴重な体験です。1250年間、伝え続けられてきたのは偶然ではありません。本来なら忘れてしまって当然のことが、忘れられることなく受け継がれている。そこに、持続可能な社会の実現における重要な要素があるはずです。