2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

海洋, 減災・防災, 環境, 世界遺産・地域の文化財等, 福祉

 本校は,「ふるさとに誇りをもち 夢と希望に満ちた 心豊かでたくましい児童の育成」を学校目標とし,ESDの目標を「ふるさとのよさを知ることを通して,ふるさとの環境を大切に守り,人とのつながりや関わりを尊重できる子どもを育成する」と設定している。ESDの実践を通して育てたい資質・能力は,「ふるさとの恵まれた自然環境や伝統文化を守るために自分にできることを主体的に考える態度」「ふるさとの自然や伝統に親しむ態度」「未来を見つめ生きる力,応用力,コミュニケーション能力」である。具体的には,①伝統文化に関わる活動,②自然環境に関わる活動,③人と関わる活動を行った。

① 伝統文化に関わる活動

 今年で193年目を迎える「早稲谷鹿踊」の継承活動を,全校児童で毎週水曜日,業前活動として取り組んだ。縦割り班で上学年が下学年に教える活動を通し,地域の一員として伝承活動に関わっている自覚を促した。また,総合的な学習の時間に伝統文化継承の時間を設け,3年生以上の児童が鹿踊保存会の方より指導を受ける活動を行うとともに,4年生以上の児童は,年間9回八瀬地域文化保存伝承館で夜に行われる「早稲谷鹿踊親子教室」に参加し早稲谷鹿踊を伝承する地域の人々との関わりを深め,質の高い踊りをめざした。今年度は目黒のさんま祭,市内音楽祭,参観日,生活総合発表会で発表した。

② 自然環境に関わる活動 

 地域の農家の方を講師に迎え,1・2年生はサツマイモを,3・4年生はダイズの栽培活動を行った。収穫したサツマイモは,11月に近隣のパーキングで開催された「軽トラ市」において,1・2年生が販売した。また3・4年生は,1月にダイズを使って豆腐を作り,自分たちの畑で育てたものをいただく食育活動につなげた。さらに,3・4年生は養蚕経験のある方を講師に蚕の育て方や地域の養蚕の歴史について学び,実際に蚕を育てる活動を行った。3学期には繭を使って,地域の方から繭細工を教わる予定である。
 5・6年生は,地域人材や山の暮らしに詳しい専門家との連携を図り,さまざまな視点で山について学習することで,山のよさや課題を実感する学習を行った。児童は豊かな海と身近にある山と川との関係が深いことに気付き,海側の小学校である気仙沼市立唐桑小学校と山や海について意見交換した。さらに,本地域には土砂災害の危険があることを実感したことから,児童自らが企画・運営した全校での土砂災害避難訓練を実施した。

③ 人と関わる活動

 学区に住む77歳以上の方に敬老帳を配付する活動を行った。今年度で51回目となる。敬老帳は児童の作文や絵などを冊子にしたもので,全校児童が協力して作成し,配付した。配付時には「感謝の言葉を添えて渡す」など児童たちなりの工夫もみられた。

来年度の活動計画

① 伝統文化・・・本地域に伝わる「早稲谷鹿踊」と「塚沢神楽」の踊りの継承活動と,地域の伝統芸能を大切にする意欲を高めるために歴史的背景等を学ぶ活動を充実させる。

② 自然環境・・・本地域の自然環境のよさと課題をさらに実感させるため,農業体験と山や川をより理解するための体験活動等の充実を図る。例えば,3・4年生では,地域の環境を生かした取組であるそばの栽培とそばうち体験を行う。5・6年生では,間伐材を利用している木質バイオマス発電について学ぶ機会を設け,林業を生業としている人々やバイオマス発電に関わる方から話を聞く活動等を通して,地域の山が再生可能エネルギーとして活用されていることに気付かせ,地域のためにできることを考えさせていく。

③ 人との関わり・・全校での敬老帳作りを継続し,より思いが伝わるよう内容に創意工夫を加えることによって,児童主体の活動としていく。また,課題意識をもって山と海の関係を学ぶことを通して,同年代の交流である気仙沼市立唐桑小学校との意見交換の充実を図り,コミュニケーション能力を高める。