2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 国際理解, 持続可能な生産と消費, その他の関連分野

本校は,「豊かな知性をみがく」「協調と思いやりの精神を養う」「たくましい心身を鍛える」という教育目標のもとに,ESDを持続可能な社会づくりの根幹として捉え,ESDの実践を通して,主体的に探究し,思いや学びを高め合える生徒の育成を目標としている。具体的には,①応援団活動,②夏みかん並木の保全といった伝統を大切にし,継続させていく活動に合わせて,昨年度から継続している③総合的な学習の時間の,「ユニクロプロジェクト」と称する国際理解につながる学習を行った。

①応援団活動にかかわる教育

青陵中学校では「伝統を引き継ぐこと」「愛校心を高めること」「青陵中生としての誇りをもつこと」をねらいとし,応援団活動が行われている。例年では,応援団は1年生の5月に,希望者による体験入団を経て,体育祭の活動がスタートする。今年度は,新型コロナウイルス感染症の影響により,1年生は,3年生が青陵祭(文化祭)で活動を終えた後の1月に結束し,入学説明会より活動した。青陵中学校の応援団は平成4年から始まり,今年で29年目となる。体育祭の応援団演舞だけでなく,平成23年度からは,青陵祭で全校演舞も行われるようになった。全校演舞は,東日本大震災で被災した東北の人々へエールを送ろうという思いから始まり,今では青陵祭の目玉の一つにもなっている。また近年では,集中豪雨や台風により被災している各地へエールを送ろうという思いにつながっている。応援団長が全校生徒に演舞の目的や意味を伝えてから,練習に取り組むことで,学年を越えた一体感や,愛校心の醸成につながっている。最近では応援団に憧れ,入団を希望する生徒も増え,男女分け隔てなく応援団を盛り上げる姿が多く見られている。毎年,青陵祭の応援団全校演舞を楽しみに来校される地域の方が多く,応援団が地域との橋渡しの一つとなっている。

②夏みかん並木にかかわる教育

青陵中学校では,毎年1月に夏みかん収穫作業が行われる。青陵街道沿いに植えられた約70本の夏みかん並木は,昭和35年の5月に,「郷土への奉仕活動を!」をテーマに当時の生徒会役員の発案で,校区の青陵街道に名産品でもある香り豊かな夏みかんを植えたのが始まりである。このことがテレビ番組で紹介され,詩人のサトウ・ハチローが「きいろが 黄色が 輝きになる」という夏みかんの詩を書いてくださった。詩の一節には,「街を愛する心 みどりを愛するきもち すがすがしさを愛するものが 一つになっての並木道づくりになれるのだ」とあるように,青陵中学校生徒と地域の人が一体となって,緑豊かな街づくりをする様子が詩でうたわれている。先輩から,地域の自然を愛し緑を育てる活動を引き継ぐ夏みかん並木は,環境委員会を中心に育てられてきた。現在は生徒会が中心となりボランティアを募集し収穫をしている。収穫した夏みかんは,交流を続けている長野県の飯田東中学校(りんご並木の育成)や地域の福祉施設に届けている。

③総合的な学習の時間におけるユニクロプロジェクトにおける教育

本年度,第2学年における総合的な学習の時間では,キャリア教育の一環として,ユニクロによる出前授業を行った。学習を通して,生徒は職場体験への意欲を高めるとともに,働く意義の一つに社会貢献があることを学んだ。またこの授業を通して,SDGsへの関心が高まり,自分たちにできることから行動したいという声につながり,ユニクロプロジェクトが始まった。自分たちにできることは何か考えることから始め,クラスで意見を出し合い,青陵中学校全生徒に不要になった子ども服の回収を呼びかけた。最終的に,子ども服は八百着集まり,ユニクロを通して難民へ服を送る活動を実践した。この活動を通して,世界に目を向け,具体的に自分たちにできることを考え,実行できる生徒が増えた。

来年度の活動計画

 実践①,②では,主に青陵中の伝統である活動を通して,伝統・地域・環境について学んできた。これから先も,時代に合ったニーズを取り入れながら,学校全体で持続可能な社会づくりに貢献していきたい。実践③で取り上げたSDGsは,私たちの暮らしや地球が現在だけでなく未来にわたって存続できるようにするために必要なことであると考える。今回のプロジェクトは,生徒たちの自主性から生まれ,学校全体で取り組むことができた。これからも継続して実施していきたい項目である。また,プロジェクトを通して,SDGsの必要性を感じた生徒が,SDGsの17のゴール(目標)に目を向け,自分たちにできることを考え,実行する姿を期待したい。