2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 世界遺産・地域の文化財等, 国際理解

本校は,「豊かな知性をみがく」「協調と思いやりの精神を養う」「たくましい心身を鍛える」という教育目標のもとに,ESDを持続可能な社会づくりの根幹として捉え,ESDの実践をとおして主体的に探究し,思いや学びを高め合える生徒の力の育成を目標としている。具体的には,①応援団活動,②夏みかん並木の保全といった伝統を大切にし,継続させていく活動に合わせて,本年度③総合的な学習の時間ではユニクロプロジェクトと称して,国際理解に繋がる学習を行った。

①応援団活動にかかわる教育

青陵中学校では「伝統を引き継ぐこと」「愛校心を高めること」「青陵中生としての誇りをもつこと」をねらいとし,応援団活動が行われている。応援団は1年生の5月,希望者による体験入団があり,体育祭から活動がスタートする。最後は3年生の青陵祭(文化祭)で活動を終える。青陵中学校の応援団は平成4年から始まり,今年で28年めとなる。体育祭の応援団演舞だけでなく,平成23年度からは,青陵祭で全校演舞も行われるようになった。全校演舞は,東日本大震災で被災した東北の人々へエールを送ろうという思いから始まり今では青陵祭の目玉の一つにもなっている。また近年では,集中豪雨や台風により被災している各地へエールを送ろうという思いにつながり,全体での練習が始まる前に,応援団長から話をし,全生徒が全校演舞の意義を確認しながら行うことができている。また近年,団長から,新団長へ世代交代をする「継承式」を取り入れたこともあり,全校で行う演舞を通して,3年生から後輩たちへ伝統を継承する場としての意味も加えられている。全校演舞を行うことで,応援団に憧れ,翌年応援団への入団を希望する生徒も増えている。近年では特に女子生徒の入団希望も増え,男女関係なく応援団を盛り上げることに寄与することができている。また,青陵祭の応援団全校演舞を楽しみに来校される地域の方も少なくないことから,応援団が地域との橋渡しの一つとなっている。

②夏みかん並木にかかわる教育

青陵中学校では,毎年1月に夏みかん収穫作業が行われる。青陵街道沿いに植えられた約70本の夏みかん並木は,昭和35年の5月に,「郷土への奉仕活動を!」をテーマに当時の生徒会役員の発案で,校区の青陵街道に産地でもある香り豊かな夏みかんを植えたのが始まりである。このことがテレビ番組で紹介され,詩人のサトウ・ハチローさんが「きいろがきいろが かがやきになる」という夏みかんの詩を書いてくださった。先輩方による,地域の自然を愛し緑を育てる活動を引き継ぐ夏みかん並木は,緑化委員会を中心に育てられてきた。現在は生徒会が中心となりボランティアを募集し,環境委員会が協力をして収穫をしている。収穫した夏みかんは,地域の福祉施設に届けている。また,長野県の飯田東中学校ともりんご並木の育成の関連で,交流を続けている。

③総合的な学習の時間におけるユニクロプロジェクトにおける教育

本年度,第2学年における総合的な学習の時間では,勤労に関する学習を行った。学習内容の一つとして,ユニクロによる出前授業を依頼した。出前授業を受けて生徒は職場体験への意欲を高めるとともに,働く意義の一つに社会貢献があることを学んだ。またこの授業を受け,SDGsへの関心を高めるとともに,自分たちにできることから行動したいという声からユニクロプロジェクトが始まった。自分たちにできることは何か考えることから始め,クラスで意見を出し合い,できることを計画した。結果,自分たちにできることとして青陵中学校を始め,近隣の小学校や市民館,幼稚園や保育園にも依頼をして不要となった子ども服を集め,ユニクロを通して難民へ服を送るという活動を実践した。本年度の活動では,子ども服をおよそ五千着回収することができた。

来年度の活動計画

実践①,②については,主に青陵中の伝統である活動を通じて学んできた。しかし,これから先は時代に合ったニーズが考えられるため,その都度学校全体で考えていきながら持続可能な社会づくりに貢献していきたい。実践③で取り上げたSDGsは,今後もさまざまな場面で関心を高められる機会を設ける必要性を感じた。今回のプロジェクトは生徒たちの自主性から生まれ,学校,地域を巻き込んでできた活動である。そのため,来年度以降も綿密に計画を立てたうえで,実践に移していきたい。また,さまざまな場面で地域をはじめ,いろいろな人と関わる機会があったため,今後も多くの人と関わる中で協働について考えられる生徒を育成していきたい。