2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 持続可能な生産と消費

本校は、「自主・協力・創造」の心を養い、知・徳・体の調和と統一のある人間性豊かな生徒を育てることを教育目標としている。ESDを地域の自然や人に目を向け、将来、よりよい地域社会を育んでいくための学習活動と捉え、ESDの実践を通して地域の人や自然と積極的に関わり、そのよさや改善すべき点に気づき、自ら働きかけていく力を育成することを目標とした。

具体的には、環境学習、地域の産業の学習を柱に、①優れた自然の保全に関わる活動②生命や自然の尊重と地域文化の継承に関わる学習③地域の主産業である農業に関わる学習に取り組んだ。

① 優れた自然の保全に関わる活動「海岸クリーン活動」

本校の校区は、本州でも有数の規模を誇る自然砂浜海岸である「表浜」に面している。この砂浜には、多くの海浜植物や砂浜特有の昆虫が生育し、アカウミガメが産卵のために上陸する。サーファーや釣り人にも愛される浜である。本校では、生徒会役員の呼びかけをきっかけに、この表浜のクリーン活動を1986年から継続している。本年度は11月12日(木)に実施された。晴天に恵まれ、平日ではあったが,多くの保護者や地域の方の参加も得られた。多くのごみのうち、アカウミガメがクラゲとまちがえて食べてしまうポリ袋やプラスチックごみ、昆虫が匂いに誘われて入り込んで出られなくなる空き缶を特に意識して活動した。当日、海岸でサーフィンや釣りを楽しんでいた多くの人々にも、クリーン活動に取り組む姿をアピールすることができた。本年度はコロナ感染症のため実施できなかったが,来年度は実施予定である。

② 生命や自然の尊重と地域文化の継承に関わる学習「ササユリボランティア」

表浜の背後の海食崖の上には、昔、多くのササユリが自生する里山があった。しかし、エネルギー革命以降は里山に人の手が入らなくなり、ササユリも減少してしまった。そのわずかに残ったササユリを地域の住民が見つけ、「笹百合保存会」を立ち上げ環境を改善して保全に取り組んでいる。本校生徒会は地域の方と協働して校区の自然を守ろうとする活動に、2005年から関わり続けている。例年6月に行われるささゆりの里まつりには、100名以上の生徒が参加している。見学に訪れる人々にお茶や漬物で接待をしたり、販売されている鉢花や野菜を運ぶ手伝いをしたりして、ボランティア活動に取り組んだ。参加を通して、自分の校区のすばらしさを感じたり、世代を超えた交流のよい機会となったりしている。また、生徒たちの郷土を愛する心の育成にも役立っている。

③ 地域の主産業である農業に関わる学習「農業体験学習」

豊橋市の南部は、有数の農業地帯である。農家の子女も生徒にいるが、本校の生徒の多くは、校区にある大企業の社宅や公営住宅、最近開発された住宅地に住んでいる。身近に畑が広がっているが、農業にふれる機会は少ない。そこで、1年生の生徒全員が地域の主産業である農業を体験し、地域の人と交流する学習の機会を設けている。生徒たちは、農家の営みの喜びや苦労の一端を実際の体験を通して学ぶことができた。

来年度の活動計画

本校では、次年度も「海岸クリーン活動」「ササユリボランティア」「農業体験学習」に継続して取り組んでいく。それと合わせて、表浜海岸を中心とした生物多様性や自然環境の学習、よりよい地域社会を創造しようとする心情を育む学習を深めていきたい。

① 海岸クリーン活動

環境学習の充実を図り、校内だけでなく、地域へも表浜海岸の重要性を啓発することを含めた活動を展開したい。11月実施予定。

② ササユリボランティア

5月下旬から6月初旬の土日に開催される「ささゆりの里まつり」にボランティアとして参加する。保存会の活動資金を得るための野菜や花、苗販売の手伝いや、来場者への接待をする。11月には、ササユリの苗床づくりや種まきなどの活動に参加する。

③ 農業体験活動

地域の主産業である農業は、地域の環境を創造する役割も担っている。その現場で実施に体験をすることで、地域への愛着を育むとともに、自分たちの地域を担っていこうとする心情を培っていきたい。