2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 環境, 持続可能な生産と消費

本校は、「自主・協力・創造」の心を養い、知・徳・体の調和と統一のある人間性豊かな生徒を育てることを教育目標としている。ESDを地域の自然や人に目を向け、将来よりよい地域社会を育んでいくための学習活動と捉え、ESDの実践を通して地域の人や自然と積極的に関わり、そのよさや改善すべき点に気づき、自ら働きかけていく力を育成することを目標とした。

具体的には、環境学習、地域の産業の学習を柱に、①優れた自然の保全に関わる活動、②生命や自然の尊重と地域文化の継承に関わる教育、③地域の主産業である農業に関わる学習を行った。

①優れた自然の保全に関わる活動「海岸クリーン活動」

本校の校区は、本州でも有数の規模を誇る自然砂浜海岸である「表浜」に面している。この砂浜には、多くの海浜植物や砂浜特有の昆虫が生育し、アカウミガメが産卵のために上陸する。サーファーや釣り人にも愛される浜である。本校では、生徒会役員の呼びかけをきっかけに、この表浜のクリーン活動を32年間続けてきている。長年続けてきているこの活動と、次に掲げるササユリの保全活動により、本校は愛知県から野生生物保護実践校の指定を受けた。

平成30年度の活動は、11月10日(土)に、PTAや地域の方々の参加も得て行った。国内で唯一、汀線から3km沖合までを保護された表浜の重要性を訴える自然観察指導員の講話を受けて活動が始まった。繰り返し襲った台風により打ち上げられた、大量のプラスチックごみや空き缶などを回収した。

②生命や自然の尊重と地域文化の継承に関わる学習「ササユリボランティア」

本校の位置する渥美半島の付け根は、地層が若く、激しい海蝕を受けてきた。そのために現在は、丘陵の南半分が失われ、海岸崖の頂上が過去の丘陵の頂上部になっている。この丘陵は、昭和30年頃のエネルギー革命以前は、薪や焚き付けを集めて現金収入を得る里山の松林であった。その里山にはササユリが多く、子どもたちが手折って町へ売りに行き小遣い稼ぎをしていた。エネルギー革命以降里山は利用されなくなり、常緑樹の侵入によってマツは枯れ、林床が暗くなってササユリは消えていった。わずかに生き残ったササユリを地域の住民が見つけ、保存会を立ち上げて環境を改善して増殖をはかっている。当校生徒会はこの活動に12年関わり続けている。

生徒たちは、保存会の指導のもと、ササユリの保全やササユリ祭りの手伝いなどに積極的に取り組んでいる。ササユリ祭りでは、来場者の接待、保存会の活動資金を得るための花卉の販売を手伝っている。中学生の明るいあいさつや声掛けは、来場者に大変好評でリピーターも生み出している。秋には結実したササユリの実を集めて種子をとる作業も行った。

③地域の主産業である農業に関わる学習「農業体験学習」

 豊橋市の南部は、有数の農業地帯である。農家の子女も生徒にいるが、本校の生徒の多くは、校区にある大企業の社宅や公営住宅、最近開発された住宅地に住んでいる。身近に畑が広がっているが、農業にふれることはない。1年生の生徒全員が地域の主産業である農業を体験し、地域の人と交流する学習の機会を設けている。

 生徒たちは、毎日の地道な作業の繰り返しの末にある収穫の喜びを教えられた。また、園芸農法にはコンピュータやハイテクが導入されて、私たちの食卓に野菜が供されていることなども学んだ。

来年度の活動計画

本校では平成31年度も、海岸クリーン活動とササユリ保全活動、農業体験学習に取り組んでいく。それと合わせて、表浜のことを中心に生物多様性や災害への対応と備えなどについての環境学習も深めていきたい。

①ササユリ保全活動

 6月初旬の土日に開催されるささゆりの里祭りにボランティアとして参加する。保存会の活動資金を得るための花卉販売の手伝いや、来場者のカウント、接待などを行う。

 11月にはササユリの果実集めや、育苗圃場の整備などに参加する。

②海岸クリーン活動

 生物多様性条約の愛知ターゲットの目標年2020年まであと1年となる2019年は、さらに環境学習の充実を図り、校内だけでなく地域へも表浜の重要性を啓発することも含めて海岸クリーン活動を展開したい。11月に行う予定である。