2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 環境, 世界遺産・地域の文化財等

 本校は豊橋市の南西部に位置する全校生徒260人ほどの小規模校である。校区には、国内有数の干潟である『汐川干潟』を有し、総合的な学習が始まった平成12年度よりこれまで、校区の特色である汐川干潟を軸にした環境教育に取り組んできた。本年度も、「持続可能な学校・地域を構築する『ESD』の理念を核にして、『安全、安心な学校づくり』『誰にでも居心地のよい学校づくり』『生徒にとって誇りのもてる学校づくり』の3本の柱をもとに、学校・学年・学級経営を推進する」という経営方針を校長が明示し、ESDを核にしたホールスクールとしての取り組みを展開している。
 そこで本校では、①地元「汐川干潟を中心に据えた環境教育」、②ESDの視点を導入した授業づくり、③ESDの視点を導入したカリキュラム編成、④ESD推進のための組織的な取り組みを推進している。

① 地元「汐川干潟を中心に据えた環境教育」に関する取り組み

 本学区は田畑に囲まれ、中心に紙田川という生物種の豊富な川が流れており、河口部は280ヘクタールの面積がある国内有数の『汐川干潟』に面している。そこで、本校では「汐川干潟」を軸にした環境教育を推進している。具体的には、「観鳥会」「干潟観察会」「環境学習デイ」「干潟引き継ぎ会」などの現地学習を年間計画に位置づけ、それに向けた学習を総合的な学習の時間を活用して実施している。また、実施にあたり、豊橋市の環境保全課の方々、NPO「汐川干潟を守る会」の方々、地元の「汐川干潟を保全する会」のご協力をいただいている。

 NPO、地元団体、行政が関わってくれたことで専門的な知見、物質面を含めた体制の協力、昔の干潟の様子を教えていただける地元の方々の支援を得て、活動が充実したのはいうまでもない。また、関係団体の方々が支えていただくことで、今後も本校の特色ある教育活動が持続していく明るい見通しがもてた。 

② ESDの視点を導入した授業づくり

 生徒が未来を生き抜くことができる問題解決力を育てるために新学習指導要領の柱の一つになっている「主体的、対話的で深い学び」を目ざし、問題解決的な学習に力をいれている。その形態として、6つの授業過程「①場面把握をする②課題を見出す③見通しをもつ④自力解決をする⑤集団解決をする⑥振り返りをする」を導入した。6つの授業過程を意識して50分の授業を組み立てることで、生徒が受け身の授業ではなく、自ら主体的に課題に取り組むよう工夫した。また、授業案には、国立教育政策研究所の7つの能力・態度を参考にして、本校版のものに見直した。それにより、授業者のみならず、事後の協議会においても授業の視点が明確となり、授業が「ESD」の何に結びついているのか、授業の本質的なねらいが授業者にわかるようになった。

③ ESDの視点を導入したカリキュラム編成

 「ESDカレンダー」を見直し、よりよいカリキュラムとなるように作成している。ESDカレンダーは、学校の特色ある教育課程を表すもので、特色ある教育課程を計画し、職員が共通理解することができる大変有効なツールであると考える。本校の中心である汐川干潟に関わる活動、一般的な環境問題、地域、安全・安心といった他の特色ある活動を種類別に色分けして、本校の特色が端的にわかるようにした。これは、あくまで、現在進行形であり、今後、常に改善され、引き継いでいくこととなる。この改善を学期ごとのPDCAサイクルにのせることにしたことで、今後持続的に改善されていくようにした。

④ ESD推進のための組織的な取り組みを推進している。

 本校の特色ある教育活動を持続させるために、職員、生徒ともに組織を再編した。職員の組織としてESD主任を設置し、総合主任、学年主任、校長ら学校四役からなる「ESD推進委員会」を設置した。本校のESD、特色ある教育活動について定期的に見直し、共通理解する場とした。また生徒会執行部が,汐川干潟のクリーン活動を自主的に企画・計画し、全校生徒に呼びかけ、ESD活動に参加する生徒が増えた。また、「ESDパスポート」を実施は、本年度で3年目となった。学校で紹介される活動への参加だけでなく、自主的にボランティア活動できるイベントや事業所を探す生徒も増えつつある。

来年度の活動計画

 環境学習としては、2年生が汐川干潟の未来を考える中心学年として「総合的な学習」の時間を使って「未来の汐川干潟はどうあるべきか」を考え、年1回全校で現地で学習する「環境学習デイ」の中で、1年生をリードし、2年生が考えた保全活動を展開していく。1年生は、汐川干潟に飛来する渡り鳥を観察する「観鳥会」、総合的な学習の中の「環境問題にかかわる個人調べ学習&発表会」を実施し、環境問題に関する基礎を培う。

 安全・安心に関わる取り組みとしては、R2年度も継続して自転車運転免許制度と講習会を実施する。また、「豊橋学校いのちの日」には、命の講演会を実施する。

 さらに、生徒会を中心とした常時活動では、ESDパスポートを活用したボランティア活動を継続して推進していく予定である。