2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

国際理解, 平和

 本校は,「肢体不自由特別支援学校として,保護者や隣接の施設・病院と緊密な連携のもと,児童生徒の可能性を最大限に伸ばし,主体的に生きる力を育てる。」を学校理念として,ESDを「個に応じた主体的な学びを行う」と捉え,ESDの実践を通して「児童生徒が,自分自身を見つめ,個に応じた課題の発見と発展的な解決に向けた能力の育成」を目標とした教育活動に取り組んでいる。具体的には,①平和学習に係わる活動,②国際交流に係わる教育を行った。

①平和学習に係わる活動

 

本校では,平和学習の一つとして約9年前から,「NPO法人ひろしま点灯虫の会」が主催しているピースキャンドルの制作に参加している。今年も全校でピースキャンドルを作成するとともに,児童生徒の発達段階に応じた平和学習に取り組み,平和の大切さを学習した。

・6月から7月にかけて,各学年・クラスで平和学習を行い,7月上旬に平和集会(ピースキャンドル制作及び,平和学習で学んだ内容を発表)を行った。各学年・クラスで学習したことにあわせて,「平和学習をしてどう思ったか」「未来に向けてどうしていきたいか」等,自分たちの思いや考えを全校の前で発表した。他学部の発表を聞くことで,平和への願いや思いをさらに深めていくことができた。

 

・8月6日の広島原爆記念日には,本校で制作したピースキャンドルを他の参加者とともに原爆ドームの周りに並べ点灯した。

 

・9月の全校集会では,7月の平和集会について振り返り,8月6日のピースキャンドルの点灯の様子や平和公園を訪れて慰霊の思いを示している様々な人たちの様子等を画像を見ることで,多くの人たちの平和への思いに触れることができ「平和への願い」をふくらませることができた。

・小学部では,学部内で「おりづる作り」を呼びかけ約100羽のおりづるが集まった。それを5年生の宿泊学習の際に原爆の子の像に寄贈し命の大切さについて考えることができた。

・高等部の宿泊学習では,広島平和記念公園の見学を行い,学校全体に「おりづる作り」を呼びかけ,自分たちで折ったおりづると集まったおりづるをあわせて原爆の子の像に寄贈した。事前事後の学習を通して平和の大切さについての学習を深めることができた。

 

②国際交流に係わる教育

本校では国際理解学習として,平成24年度から多様な文化を受け入れる意識を育むために,スウェーデンのタルバッカ特別支援学校と姉妹校提携を結び,メールや手紙,作品等での交流を深めている。

・今年度は年間に2回(7月と12月),手紙と作品での交流を行った。事前に各クラスでスウェーデンについての学習を行ったのち,クラスごとに思い思いの作品を制作し贈った。タルバッカ特別支援学校からも毎年たくさんの作品をいただいている。毎年,作品を制作すること,届いた作品を見たり触れたりすることで,児童生徒にとって日本以外の文化を知り,多様な文化を受け入れていく意識を育むとともに他者を意識し仲間と共に生きていくための態度の育成にもつながってきている。

・今年度も,玄関ロビーにタルバッカ特別支援学校からの作品展示をするコーナーを設けたり,自分たちで作った作品を玄関や廊下に展示し,よりタルバッカとの交流が意識できるように工夫した。

 

・中学部では,2年次に校外学習で国際交流プラザ「JICA中国」を訪問し国際理解教育を行っている。「JICA中国」では,民族衣装を着たり,実際に民族楽器に触れ音を出したり,東南アジアやアフリカの食事を食べたりする体験を通して,他国の文化や食文化に触れ,生徒は文化の違いを感じたり考えたりすることができた。

③ユネスコスクール全国大会での意見交流

今年度は,1130日に福山市立大学において,ユネスコスクール全国大会が開催され,参加をした。全体会や企業の取り組みをうかがう中で,特別支援教育の分科会に参加をした。

発表校の提案について質問や協議をしていく中,本校は一昨年度の全国大会で本校が発表を行った内容をふまえ,その後継続して行っている現在の活動についての報告を行った。あわせて意見交流をする中で,内容を深めることができた。

来年度の活動計画

・美術や生活単元学習,特別活動等で作品作りやスウェーデンの文化に触れる活動,(6・7月及び1112月)平和学習(6・7・8月)を行う。

・ピースキャンドル作り,各学部学年での平和学習,平和集会を通して平和の大切さについて学び,表現していく活動を通して,児童生徒一人一人が主体的に平和について考え実践していく姿勢を育てる。また校外学習などで平和記念公園を見学するなどしながら学習の深化を図る。

・国際交流プラザの訪問を通して,文化の違いを感じ,異文化の理解を深める取り組みを行う。

・生徒会から,本校の児童生徒とタルバッカ特別支援学校の児童生徒に「折り鶴」を折ってもらうことをお願いし,本校の折り鶴と,あわせて,ピースキャンドルとともに平和公園へ持って行く。

・児童生徒及び保護者・地域に活動の主旨や活動内容について発信する。

・ピースキャンドル作成,平和集会,国際理解教育等の活動に関わるアンケートを行い,児童生徒の声や達成感が得られたかどうか反省と課題をまとめ,次年度に向けての検討を行う。

・広島や近隣で行われる参加可能なユネスコスクールやコンソーシアムの研修会に参加し,情報を得るとともに,必要に応じて近隣の大学や企業等と協同しながらさらに取り組みを深める。