2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 減災・防災, エネルギー, 環境, 文化多様性, 世界遺産・地域の文化財等, 国際理解, 持続可能な生産と消費

 本校では、生活教育を基盤とした問題解決的学習過程を利用した授業を通して、子どもの問題解決力を高めている。その中で、ESDを「持続可能な社会の実現のための教育」と捉え、ESDの実践を通して、「問題を見いだす力」「問題の解決に向けて、自らの意志に基づいて行動する力」「自分の意見に偏らず、仲間と議論する力」「広い視野でよりよい方法を模索する力」の四つの力を育むことを目標とした。
 本年度の実践として、①ラグビー代表から考える国際理解(1年)、②地域の食資源の保護と食文化の継承(地域の文化財等)(2年)、③多様な食の在り方を見つめる、持続可能な生産と消費についての学習(2年)の3点を紹介する。
 ①ラグビー代表から考える国際理解(1年)
 ラグビー日本代表チームを教材として取り上げ、「多くの外国人選手がプレーしている日本代表を受け入れるべきか」という問題の追究を行った。子どもは、「日本国籍でなければ受け入れたくない」や「日本のために闘う選手の思いを大切にしたい」と考えた。追究を進めていく中で子どもは、「ハーフ」という言葉に着目した。日本人が違和感なく使っている言葉には、日本人と外国の人を見た目や思いこみで分けている意識の枠があるのではないかと気づいた。実際に、外国出身のラグビー日本代表選手と議論することで、多様化するこれからの日本社会において、互いのよさを理解し合って、一人一人の存在を認め合っていくことが大切だと実感した。
②地域の食資源の保護と食文化の継承(地域の文化財等)(2年)
 日本では、食料が豊富にあるがゆえにその価値が薄れつつある。そこで、日本人が古来より食べ続けており、食文化として定着している「うなぎ」を取り上げ、水産資源の保護について考える機会を設定した。うなぎが絶滅危惧種に指定されていると知った子どもは、日本人が好んで食している事実から、「日本人の食習慣を見直すべきではないか」と感じ始めた。養鰻業や飲食店などへの取材や学級での意見交換の中で、土用の丑の日にうなぎが大量に廃棄されているという問題に注目し、「日本の食文化を守るなら資源を守らなければならない」と考えた。そして、資源保護と食文化の継承の両立をめざし、うなぎを取り巻く現状をまとめ、仲間や取材先に発信した。
③多様な食の在り方を見つめる、持続可能な生産と消費についての学習(2年)
 動物性の食品を避ける、ヴィーガンやベジタリアンの食べ方に注目し、「ヴィーガンやべジタリアンを受け入れていくべきか」という問題の追究をおこなった。受け入れがたいと思っていた食べ方だったが、ヴィーガンを実践する人や飲食店の経営者などに取材をする中で、世界の温室効果ガスの20%が畜産によるものであることやアマゾンの森林伐採の70%が畜産によるものであることを知った。また、食用の動物がずさんな環境で飼育されていることにも疑問をもった。「ヴィーガンやベジタリアン考え方を受け入れ、多様な食のあり方を尊重すべきだ。自分たちが食べているものの背景をきちんと知り、消費のあり方を見つめていかなければいけない」とこれからの生活を展望した。

来年度の活動計画

 私たちは、「よりよい社会を自分たちの手で実現したい」という夢を子どもに抱かせることで、「持続可能な社会」を現実のものとしていくと捉えている。そのためには、生活教育を基盤とした問題解決的学習過程による授業を通して、子どもの問題解決力を高めることが重要であると考える。令和2年度においても引き続き、生活教育に基盤を置いていく。その中で、問題解決的学習過程による授業実践を展開していく。令和2年9月29日(火)には、本校にて、生活教育研究協議会を開催し、9教科の授業を公開する予定である。また、同時に実践紹介のまとめ冊子を配付し、三河地区、愛知県内、更には全国へと広く実践を紹介していく予定である。