2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, エネルギー, 環境, 世界遺産・地域の文化財等, 平和, 福祉, 持続可能な生産と消費

本校は,「学ぶよろこびのある入野小学校教育の創造」を学校教育目標とし,ESDを柱として教育活動を行っている。「他者と協働し,よりよく行動する児童の育成」~ESDの視点に立ったカリキュラム開発を通して~というテーマで,ESDの視点に立った教育活動の研究を進めてきた。本校におけるESDの目標は地域を教材として,持続可能な社会づくりに関わる課題を見出し,それらを解決するために必要な資質・能力を身に付け,みんなが幸せに暮らすために他者と協働しよりよく行動していくことである。

これまでの研究では,カリキュラム・マネジメントの視点を取り入れた単元づくりを通して,児童の地域への愛着が深まるなどの一定の成果があった。

また,主体的な学びの検証,地域や所属集団のために判断し進んで行動する力の育成,思考力・表現力を育成する手立ての開発などの課題も明確になってきた。
加えて,本年度は,道徳の研究指定を受け,道徳科を中心としたカリキュラムマネジメントを行い,実践を行うことで,道徳的な実践力の育成にも取り組むことができた。

本校では,生活科・総合的な学習の時間を中核としながらESDを実践している。その際「教材のつながり」「人のつながり」「能力・態度のつながり」などを考慮した単元づくりを行うことで,学習意欲や自己肯定感が高まった。これまで,生活科・総合的な学習の時間に関連した各教科・領域の学習内容を,ESDの観点から「自然環境」「多文化(地域理解・国際理解)」「共生」に整理し,上記の3つの視点でつなぐことで,教科横断的な学習活動に取り組めるようにした。ESDの先進的な取組においては,ここに「学習スキル」の観点を取り入れ,教科・領域等で学んだ「学習スキル」を生活科・総合的な学習の時間で活かすことを提唱しており,本校でも,ESDの実践の中に「学習スキル」を位置付けることとした。

ESDを通して本校で育成したい資質・能力は以下の4点である。

①思考力 学んだことを適用し,次に自分の学ぶべきことを見つける力。

②表現力 考えたことを言語などで相手に分かるように表現する力。

③主体性 自ら進んで対象に関わり,目標をもって粘り強く学習や活動に取組む力。

④協働する力 他者と関わることにより,価値観や考え方に触れ,自らの考えを広げたり深めたりしながら,他者と考えを共有し,共に行動に移す力。

 

本年度実施した,各学年の主な総合的な学習の時間(生活科)の単元名と育成を目指した資質・能力は以下の通りである。

1学年 「にゅうのだいすき」

学校生活を支えている人々の存在に気付き,身近な人々に親しみをもち,関わりながら活動することができる。

2学年 「なかよし町たんけん~入野ツアーを企画しよう~」

自分たちで計画を立てて,身近な地域に出かけ,様々な場所を調べたり,地域の場所や人との関わりを広げたりするとともに,それらについて考え,親しみや愛着をもつ。

第3学年 「入野のやさしさを見つけよう~おばあちゃんたちを学習発表会に招待しよう」

地域の高齢者グループホームの職員の方の話や,利用者の方との交流からの気付きをもとに,相手の立場に立って,自分たちができる活動を考え,主体的に実践することができる。

4学年「入野の環境助け隊~自然を守って明るい未来へ~」

自分たちの生活と環境の結びつきを考え,水害による被害と水の関わりから災害から私たちの暮らしを守るための取組について考えたり,自分たちができる活動を実践したりすることができる。

5学年「つくる環境~つくる地産地消~」

野菜作りや米作りを通して,生産者になる体験や地産地消について調べる活動を通して,地域の自然や社会とのかかわりを考え,自然環境を守るためにこれからの自分の行動を考え実践することができる。

6学年「入野の未来を考えよう~入野のためにできることを提案しよう~」

現在の入野の町の課題から,未来の入野の町で自分たちができることを考えたり,その考えを広げたりしながら,効果的に表現することができる。

来年度の活動計画

これまでに進めてきた教育活動を,SDG‘sの視点で捉えなおし,教育活動全体を関連付け,児童や保護者にユネスコスクールとしての使命やESDについて更に啓発していく。今年度,道徳の研究で作成し実践した道徳学習プログラムと道徳ポートフォリオを生かし,短期的なスパンで児童と目標や学習計画を共有する方法を開発し,総合的な学習の時間と生活科を中心に置いて,各教科・領域との関連を意識して,児童の思考に寄り添いながら主体的に活動できる単元のストーリーを考え,資質・能力を育成することができるカリキュラム開発に継続して取り組んでいく。