2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 減災・防災, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, ジェンダー平等, 持続可能な生産と消費

本校は、「和の精神のもと、世界に貢献する人を育成する」を建学の精神として、「自律心を持った自立した人の育成」を学校理念に、ユネスコスクールの重点分野を通してマインドとスキルの育成を行った。

一つ目に、世界市民・平和・非暴力の分野では、UCL Japan Youth Challengeに参加し、日英の学生が協働し地球規模の課題解決のため世界市民としてどう取り組むかを話し合った。また、教養講座「世界の扉」ではUkraine War StoriesとWinter on Fireを用いてウクライナにおける戦争の惨状と平和の恒久性・非暴力の重要性を学んだ。

次に、持続可能な開発の分野では、自治体や大学と連携してSDGsの課題解決を進めた。東京都府中市との地域活性化連携協定はその一つであり、やさしい日本語の翻訳や落ち葉のたい肥化事業、マイボトルの推進活動など、計5つの生徒たちの活動を市が採用し予算化した。また、東京海洋大学の監修のもと東京湾と多摩川の水質調査を行い、汚染の現状を知ることで持続可能性の重要性を学んだ。各学年の校外学習や研修旅行では、その特性を生かした現地でのフィールドワークを行い、自治体と市民が推進するまちづくりを体験的に学んだ。

異文化・多様性・文化遺産尊重の分野では、留学生の受け入れ・派遣双方が3年ぶりに実現し、国際理解教育の活動が再開しつつある。特にアフガニスタンからの生徒の受け入れは、人道支援の取り組みの一つとなっている。国内でも、東京外国語大学による出張授業において、ジェスチャーなどの非言語表現の異文化理解を深めた。また、府中市の代表的文化遺産である大國魂神社を訪れ、その意義や保全について探究活動を行った。

最後に、ESDの学校組織によるアプローチも進みつつある。例えば、探究科を新設し、中高で学校理念およびESDを達成するためのグランドデザインを作成した。また、複数教科の教員でグループを組み、教科横断での具体的な融合型教育へチャレンジしている。制服においては、スラックスの導入が、生徒有志によるジェンダー平等を目指す継続的な活動から実現した。校則の見直しも同時に進め、性差による表現をなくす方向で生徒会と教員が協力して進めている。

来年度の活動計画

はじめに、ESDを実現するためにSDGsをテーマとした体験学習を強化する。各学年で国内外の研修旅行を実施し、まちづくりを自治体と民間・市民団体の視点から考察することで自分の街と比較・検証する。富山市のコンパクトシティに向けた取り組みの見学はその一例である。検証にあたっては、府中市との連携事業をボランティア参加から企画・運営のフェーズに引き上げ、活動ベースの探究的な学びを実現したい。

また、重点事項のひとつである国際理解教育や異文化・文化多様性の理解のための教育を強化し、留学生のさらなる派遣と受け入れ、Heart GlobalやUCLとの国際的なワークショップを予定している。

実施においては、探究科がハブの役割を果たし、生徒が中高を通してユネスコスクールとしての考えと思考力・表現力・判断力を養成するために部署間や各学年の組織的な連動を目指す。その中では、エコパークやジオパーク、学校間のネットワークなど、ユネスコスクールが持つハード・ソフトのリソースも最大限活用したい。