2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等

市丸小学校は、全校で地域(郷土)に誇りをもつ取組を行っている。本校は、校区に平尾台や絶滅危惧種である水草のガシャモク(国内において本校区のみに生育する)があり、全校児童で飼育、観察を行っている。自然豊かな校区であり、全校で米作りも行っている。この校区の自然や歴史を学び、シビックプライドの醸成を図ることを教育活動の重点とし、カリキュラムを編成している。

4年生は、校区の平尾台を探索し、平尾台の自然に親しみ、郷土の愛着心を育てる。

5年生は、地域の産業であった「小倉織」にスポットをあて、藍や綿を育て、藍染体験や綿摘み、小倉織体験を行い、地元の小倉織の歴史について調べる探求学習を行う。

6年生は、生息地であるお糸池での水質調査等、ガシャモクについて学び、まとめたものを本校と同じくSDGS推進校とオンライン交流し、発信するようにしている.

 

  • 絶滅危惧種「ガシャモク」の栽培(全学年)

「ガシャモク」の保全活動(6年)

校区内に「お糸池」がある。この池に生息する水生植物「ガシャモク」は、絶滅危惧種に指定され、国内で唯一の自生と言われている。本校では平成19年から校地内にも観察・実験用の水槽や人工池を設置し、6年生が保護活動を行ってきている。

これまで、いのちのたび博物館やガシャモク再生の会、呼野町内会、小倉南区役所及び地域の方からご支援をいただきながら、このガシャモク保全活動に取り組んできた。

保全活動の主な内容として、①ガシャモク生育池の調査 ②校内でガシャモクの栽培③お糸池の清掃 などである。具体的には、以下のような活動である。

①ガシャモク生育池の調査は、毎年6月に6年生がお糸池の水質調査を行っている。これは、「身近な水環境の全国一斉調査」と活動を同じくし、COD等の水質調査を行っている。福岡県保健環境研究所の須田様やいのちのたび博物館の真鍋先生にご協力いただき、池の真ん中、湧き出し口、岸辺の3か所をボートに乗って水質調査をしている。

②校内で行っている栽培・観察は、学校にミニお糸池を作り、生育池の土をとり、生育している。また、全校で一人一鉢、ガシャモクを育成し、毎朝、アオミドロをとったり、水槽を洗ったりしながら、栽培活動を継続している。

③お糸池に育っているガシャモクに付着しているアオミドロを除去するために、お糸池の水を抜き、池全体の清掃を行っている。

今年度、6年生は、本校と同じSDGs推進校である曽根東とオンライン交流を行い、本校の取組を発信した。このように、市丸校区の自慢であるガシャモクを自分たちで守っているという意識を高め、本校区へのシビックプライドを高めていく取組を行ってきた。

 

 

  • 藍と綿の栽培と小倉織体験活動(5年)

5年生は、東谷校区の歴史を調べる中で、本校区が小倉織を産業としていたことが分かった。そこで、地域の歴史と小倉織を調べるとともに、実際に、藍や綿を育て、育てた藍で生葉染め体験や綿を紡いで糸にし、それを染めて小倉織体験を行う学習を計画し、実践に取り組んだ。

9月に育てた綿を収穫し、10月に綿を紡いで糸にした。11月には、その糸を藍で染めた。12月に染めた糸で小倉織体験を行い、コースター作りをした。自分たちの紡いだ糸を織り込んだコースターを作った。実際に自分たちで体験することで、細かく時間のかかる作業と自然を大切にする心に触れることができた。

 

 

  •  稲作体験活動について

平成3年より、校地の近くの田んぼを地域の方から借りて、全校児童が田植えと稲刈りを体験している。秋には保護者・地域の方を招く形で「収穫祭」を催し、学習発表を行う計画であった。これは本校区が昔から稲作で生計を立ててきた地域であること、また、代々受け継いできた土地を守りたいという願いを、子どもたちに体験を通して学んでもらおうとする取組である。今年度も、田植えから収穫までを行うことができたのだが新型コロナウィルス感染症の影響で、収穫祭は中止となった。昨年度は、害虫にやられ収穫は少なかったのだが、今年度は豊作となった。餅つきは中止となり、全学年の児童に収穫した米は分けて、家庭に持って帰るようにした。

 

 

  • 平尾台の探検

例年は、平尾台の鍾乳洞を探検するのであるが、新型コロナウィルス感染症のため中止となり、平尾台にある山々を探検し、地形の特色を実際に体験することができた。離接校と交流を行い、互いに平尾台について調べてまとめたことを発表し合った。観光地としての魅力を発見し、発信できるように今後取り組む予定である。

来年度の活動計画

来年度の活動計画

本校区は「平尾台」という北九州市唯一の鍾乳洞を備えたカルスト地形の山々の麓にある。観光事業は衰退気味で、田畑が広がる調整区域のため人口も減少の一途を辿っている。この故郷への誇りと愛着に加え、未来を見据えて創意工夫しながらよりよい生活を目指すという意味でのシビックプライドを育成する方向で、「自立する市丸の子ども」の実現を模索し、「継続と挑戦」を継続していく。体験し、調べてまとめ、発信することができるようにしていきたい。

1.ガシャモク保全活動・・・年間を通じて(6年)

ガシャモクについての研究と発表(6年)

栽培(一人一鉢)・・・年間を通じて(全児童)

2.稲作体験活動・・・5~11月(全児童) 次年度は、田植え体験、収穫体験を行う。

3.小倉織体験活動(5年)

地域の産業であった小倉織について調べ、体験ができる活動を計画する。

具体的には、春に藍と綿の栽培活動を開始し、秋に収穫し、藍染体験や綿摘み体験、糸紡ぎ体験、小倉織体験などを行う。

4.平尾台の魅力を伝える活動(4年)