2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 減災・防災, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, 福祉, 健康, 食育, 貧困, ジオパーク, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)

本校は、ユネスコスクールが重点的に取り組んでいる目標を尊重し、諸課題の発見とその克服のための教育活動を展開している。また「地域」を根本に据え、日本、世界、さらに地球全体の諸課題へと視野を広げる力を鍛えることと、混沌とした社会のなかでも未来を見通して世界に貢献しようとする開拓の精神に満ちた人格の形成、この2つをESDの目標とし、以下の3つの具体的な領域を定めて活動を展開している。

1.海と山に囲まれた豊かな自然資源を有する地域性を活かし、地域の環境問題の考究や自然資源の保全活動を通して、地球規模で起こる諸課題の根源的原因を探り、その解決策について論理的に思考する力を養う。   

おもに3つの分野で継続的な活動を展開している。①環境保全。地域にある砂浜からマイクロプラスチックを採取して海岸の汚染状況をデータ化したり、マイクロプラスチックが魚類や野菜類にどのように蓄積されていくのか、大学の研究室の協力を得ながら分析を進めている。②生態系関連。国天然記念物「蕪島ウミネコ繁殖地」において、地域の研究者や自治体の協力を得ながら、ウミネコの生態調査を行っている。今年度は、キツネによる被害の実態調査を進めている。③地域の自然環境・エネルギーなどの学習。青森県に所在する世界遺産「白神山地」や「三陸復興国立公園」でのツーリズム、また六ケ所村のエネルギー施設の見学、みそ玉のかび菌研究、環境省主催のワークショップの開催など、環境や気候変動、エネルギーをなどに関わる学外学習を展開している。以上3分野の成果について、ESD/ユネスコスクール・東北コンソーシアム主催の発表会などにおいて報告を行っている。告を行っている。

三陸復興国立公園(種差海岸)の砂浜   マイクロプラスチック採取

ウミネコの生態調査(八戸市蕪島)

2.中核市としての地域性を活かし、地域が抱えている福祉・保健・医療・教育・経済などをめぐる諸課題の把握と解決に努め、国内だけでなく、世界にその成果を発信し貢献する力を養う。

おもに3つの分野で継続的な活動を展開している。①子ども支援関連。総合的な探究の時間の「子ども食堂」班が、地域の公民館で学習支援を行ったり、クリスマスやハロウィンの際にイベントを企画している。また、地域の盲・聾学校の子どものため、読み聞かせ用に録音したデータを贈呈している。②まちづくり。自治体と連携して、地域の魅力発見と広報活動を行っている。また、地域の企業の協力を得ながら企業を見学したり、県選挙管理委員会主催の選挙出前講座などを実施している。③地域の医療・保健・福祉理解。地域で活躍されている助産師・養護学校教諭からの講義、獣医学・看護学・理学療法・社会福祉学を学べる大学や専門学校の見学、総合的な探究の時間での地域医療の学習などを行っている。

はしかみいいとこ広め隊の活動(階上町)

盲・聾学校へ贈呈した声の本(CD)

3.豊富な文化遺産を有する地域性を活かし、地域の歴史や文化の考察を通して、自国文化への理解を深めるとともに、これを相対化し、異文化理解・国際理解につなげる力を養う。

おもに3つの分野で継続的な活動を展開している。①国際支援・国際協力関連。NGOの協力を得て、フィリピンと東ティモールの事前学習をもとに文化祭で2地域のフェアトレード商品の販売を行い、利益を還元した。また、発展途上国の子どもたちへの学用品の贈呈、ウクライナからの避難者への義援金の贈呈なども行った。②国際的な連携プログラム。ACCU主催の「韓国教職員招へいプログラム」に参加し、本校を会場として韓国の教職員と教育問題の話し合いや異文化理解を行った。また、外務省の方を招き、貿易のしくみ、発展途上国への支援に関する講義を受けた。③自国理解と異文化理解。自治体と連携して地域の魅力を英語で学ぶプログラム、国重要無形民俗文化財「八戸のえんぶり」に関する資料ついての教育委員会との共同調査など、異文化理解のための基礎的素養として自国の文化、地域の文化の理解に努めている。

ACCU主催 韓国教職員招へいプログラム   (本校において)

フェアトレード商品の販売(本校文化祭)

来年度の活動計画

コロナ禍のなかではあるが、オンラインだけでなく、海外を訪問しての異文化理解、語学留学を計画している。海外の学校との姉妹校の締結へ向けて、情報収集と体制づくりも考えている。環境保護に関しては、現在行っているマイクロプラスチックの研究の深化、ウミネコの生態観測も継続して取り組む予定である。新たには、ドローンを一素材として、工学とまちづくり、福祉・医療との関連の結びつきの可能性も探っていきたい。地域の自治体やNPOと連携したまちづくり関連のプログラムについては、提言や内容を単年度で完結させず、年度ごとに発展・継承させていく試みも考えていきたい。