2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

平和, 人権

広島市立古田中学校 平和学習の取組

1.本校について

本校は広島市の西部に位置するベッドタウンにあり,生徒数707人の大規模校である。地域の諸団体は学校に協力的で,清掃活動や公民館活動などを通して協働する機会が多い。ユネスコスクールには平成24年に認定され,持続可能な社会の実現に向け,継続した取組を進めている。

2.ESDの目標

「平和」をテーマとして総合的な学習の時間を中心に探究的な活動を通して,国際社会における様々な問題と自らの日常生活や身近な社会を結びつけて課題を見つけ出し,よりよく解決する資質や能力を養うとともに,主体的・協同的に取り組む態度を身に付け,自己の生き方を考えることができるようにする。

3.各学年の取組

総合的な学習の時間を中心に「平和学習」として3年間の指導計画を立てている。1学年ではヒロシマから考える平和,2学年では日本から考える平和,3学年では地球規模・国際社会の平和について学習し,様々な問題と自らの日常生活や身近な社会を結びつけて自分たちにできる身近なことについて考え,発信へと結びつけている。

(1)1学年

例年5月末に,川崎市折り鶴の会 会長 森政 忠雄 氏(昭和20年古田小学校卒業)から原子爆弾の基本知識や実際の被爆体験を聞き,平和について考える集会を行い,それを受けて7月上旬には被爆の実態をより深く学習するために,平和記念公園でのフィールドワークを行っていたが,今年度はいずれも実施できなかった。そのかわりにビデオの視聴やパンフレット・関連資料から調べ学習を進め,戦争・原爆の悲惨さ,そして被爆体験を伝えていくことの意義を深く考えるとともに,世界平和を築く意識を高める取組を行った。

(2)2学年

日本の平和について自分の日常生活と関連づけて課題を見つけ,解決するための方法を考え,発信し,討議・議論を行うことで,日本の平和について深く考える力を育てることを目標にしている。今年度は,修学旅行の実施を来年度に延期したため,関西方面のフィールドワーク等を実施し,調査・ききとり等を行い,積極的な平和につなげていく取組ができなかったが,そういった状況下においても,総合的な時間の中で様々なテーマをもとに調べ,まとめ,個人の新聞を作成し各クラスで発表,さらに新聞を掲示展示することで,新たな視点で日本の平和について学習することができた。

(3)3学年

視点を地球規模に広げ,国際社会の平和に関わる問題を自分の日常生活と関連づけて課題を見つけ,解決するための方法を考え,その考えを発信することで,世界の平和について深く考える力を育てることを目標にしている。今年度も過去2年間の学習をもとに「平和な社会を築いていく人間として,私たちはどんなことを考えなければならないのか」をテーマとして,グループに分かれ,課題を見つけて調べ,自分たちの考えも含めて発表用にまとめ,クラス内で交流できた。さらには代表の作品を他学年・保護者等に発信することはできなかったものの,学年内で発表・確認することはできた。しかし,広島に住む中学生と広島を訪れる外国人と平和へのメッセージを交換することにより,平和への思いを共有し,平和の発信・循環を図ることを目的とした折鶴付きメッセージカードの作成等の取組は行うことができなかった。

4.成果と課題

○:成果  △:課題

○自分たちが被爆体験を伝えていこうとする意欲をもった生徒が増えた。

○日本や世界,そして地球規模での課題,また,過去・現在・未来といった時代ごとの課題など,様々な視点で課題を見つけ取り組んでいく中で,平和とは何か,平和な世界を構築するために自分たちには何ができるのかに目を向け,考えを深め,広めていけるようになった。

△今後,どう被爆体験等を聞く機会を継続させていくか,考えていかなければいけない。

△平和学習によって得られた知識や考え・思いが自分たちの生活の中でどのよう活用することができているのか,また,将来にわたってどう活かされていくのか,その検証が不十分である。

 

来年度の活動計画

3年間で一貫した学習活動を計画している。1年目には「広島から学ぶ平和」,2年目には「日本から考える平和」(修学旅行地を鹿児島方面に設定),3年目には「日本から世界に発信する平和」について学習する予定である。