2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 減災・防災, 気候変動, エネルギー, 環境, 世界遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, 福祉, 持続可能な生産と消費

【天城学習に係る活動】

 本校は、「ふるさと伊豆を多角的な視点で学び、伊豆が直面している課題を知るとともに、地域を活性化させ、持続可能な地域づくりのあり方を考える」を活動テーマとして、ESDを「持続可能な地域づくりを担う人材の育成と地域への提言のための教育」の基盤と捉え、ESDの実践を通して「多面的・総合的に考える力」「コミュニケーション力」「他者と協力する態度」の育成に取り組んでいる。

 具体的には、「共に生きる」「地域のよさを知る」「地域の課題を見つける」「地域に根ざした生き方を考える」「地域を持続可能にするためのヒントを見つける」「地域を持続可能にするための提言」を柱に、以下の6つのユニットで学習を構成し、系統性・連続性を確保した学びを実践している。

① 福祉体験学習

 地域の福祉施設での体験を通して思いやりの心を育み、福祉の問題を自らの問題として受け止めるとともに、地域の一員として共に生きることの意味を深く考え、行動力につなげることをねらいとしている。具体的には、「高齢者疑似体験」「認知症サポート講座」「盲導犬について」「手話」の4つの事前講演を経て、市内の7つの施設を訪問し、様々な交流や体験を行った。

② 自然体験学習

 天城山の自然の豊かさを体感し、ふるさと伊豆を愛する心を育むことをねらいとしている。1日目は、伊豆ジオパーク推進協議会より講師を招聘し、午前中は伊豆半島ジオパークミュージアムの見学、「旭滝」「船原スコリア丘」などの火山地形を観察し、天城の成り立ちを学んだ。また、午後には火山の噴火実験を行い、その仕組みや構造について学習した。2日目には、天城自然ガイドクラブの協力を得て、天城山の「滑沢渓谷」までハイキングを行い、天城の自然の豊かさを体感した。

③ 防災学習

 伊豆が抱える防災上の問題を理解し、「自分の命は自分で守る」という主体的な防災意識を育みつつ、地域の持続的な発展のために、人間と自然の共生について具体的な解決法を考えることをねらいとしている。1日目は、伊豆半島ジオパーク推進協議会事務局職員による「天城の今昔講義」、伊豆市赤十字奉仕団による「炊き出し訓練」、そして伊豆市防災安全課による「避難所開設体験および防災講義」を実施した。2日目は、国土交通省沼津河川国道事務所による「土砂崩れ体験」、田方南消防署による「負傷者運搬訓練」などの体験を通して、地域防災のあり方について学んだ。また、静岡県東部地域局危機管理課より講師を招聘し、災害時判断ゲーム(クロスロード)に取り組み、2年生38名が「ふじのくにジュニア防災士」の資格を取得した。

④ 職場体験学習

 地域に根ざした仕事を体験することを通して、持続可能な地域にしていくためにさまざまな分野で工夫や苦労を重ねている人々の存在を知り、自己の生き方や将来の生活について関心・意欲を高めることをねらいとしている。旅館、サービス業、製造業、販売業、ペットショップ、病院、小学校、市役所等、興味のある職種を体験し、「地域に根ざした仕事を持続していくためにどのような工夫をしているのか」について学習した。

⑤ 修学旅行

 スローガン『古(いにしえ)の記憶~25人で創ろう、心の1ページ~』のもと、観光都市として古都の魅力を発信し続けている奈良・京都の魅力を探ることをねらいとしている。「自然」「特産品」「食」「観光」「環境」など、関心のあるテーマの中から、地域の課題を明らかにするべく個々のテーマを設定し、追求活動を行った。

⑥ 地域学習

 地域を活性化させ、持続可能な地域づくりのための自分(たち)なりの解決策を見つけ、行動することをねらいとしている。個人またはグループで課題を設定し、地域に出向いてインタビューや調査活動を行い、整理してまとめた。今年度は、①「2020東京オリ・パラに向けて」②「伊豆の歴史をPRしよう」③「発信!伊豆市の㊙スポット」④「あまぱふ~天城を紹介するパンフレット制作~」⑤「伊豆の魅力を再発見」⑥「伊豆のサイクリングの魅力と課題」⑦「伊豆の料理を伝えよう」⑧「伊豆の観光客を増やすには」⑨「ジオサイトの活用法を天城の活性化に活かす」⑩「天城の宿泊施設」の10課題に取り組んだ。

【その他の活動】

・筑波大学附属中学校との交流(令和元年5月15日)

・「世界一大きな授業」の実施(令和元年5月31日)

・天城学習発表会の開催(令和元年12月7日)
  学年ごとに学習の成果発表に加え、地域代表と生徒代表をパネラーにパネルディスカッションを実施した。来賓に伊豆市長をお招きし、講評をいただいた。

来年度の活動計画

【ESDを基盤とした「天城学習」のねらい】

 次年度も、「ふるさと伊豆を多角的な視点で学び、伊豆が直面している課題を知るとともに、地域を活性化させ、持続可能な地域づくりのあり方を考える」を活動テーマとする。「持続可能な地域づくりを担う人材の育成と地域への提言のための教育」を活動の根幹に据え、ESDの実践を通して「多面的・総合的に考える力」「コミュニケーション力」「他者と協力する態度」の3つの資質・能力の育成をめざす。

【学習活動】

 ※3年間の学びを6つのユニットで構成

(1年)ユニット1 福祉体験学習
         (共に生きる)
    ユニット2 自然体験学習
         (地域のよさを知る)

(2年)ユニット3 防災学習
         (地域の課題を見つける)
    ユニット4 職場体験学習
         (地域に根ざした生き方を考える)

(3年)ユニット5 修学旅行
         (地域を持続可能にするためのヒントを見つける)
    ユニット6 地域学習
         (地域を持続可能にするための提言)

【発表会】

 「天城学習発表会」の開催案内を多方面に送付したり、学校ホームページや学校だより等で地域住民に広く案内したりして、さまざまな立場の方に学習の成果を届ける。