2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 気候変動, エネルギー, 環境, 国際理解, 平和, 人権, 福祉, 持続可能な生産と消費, 世界遺産・地域の文化財等, 健康, 食育, 貧困, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)

本校は、「世界の一員として連帯感と使命感をもって、より良い社会を築くことに貢献する」ことを学校理念として、ESDをグローバルマインド育成のための諸活動に不可欠な指標と捉え、ESDの実践を通して、共生の視点と主体的に課題解決に取り組む力の育成を目標とした。その一環として2018年度は特にSDGsに着目し、従来のESDの活動をより一層活性化した。2030年の世界を担う者としての主体的な姿勢の育成に努めることを目指した。

SDGsへの意識付けとして、卒業まで継続して課題とする項目を各学年に指示した。日常生活や校内の様々な活動がSDGsとどのように関連しているかについて考えて生活する姿勢を育成した。

具体的には、身近な課題に取り組む姿勢とグローバルな視野に立ち、文化的・宗教的多様性、平和の構築、持続可能な発展を柱に、①国際理解に係わる活動、②持続可能な生産と消費に係わる教育、③人権・平和に係わる学習、④福祉に係わる学習を行った。

①  国際理解に係わる活動

2018年度は、アメリカ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、香港、台湾、韓国、アイルランド、メキシコの11校の学校との交流活動を実施することができた。年間を通じて様々な国の生徒と交流することにより、文化的多様性に対する意識が向上し、国際交流が学校生活における日常的なものとして意識されるようになった。

②  持続可能な生産と消費に係わる教育

中等科3年生が青森県南部町三八地区で農業体験を行った。南部町役場の仲介により紹介された農家に、生徒は4人一組で2泊して実際の農業体験の機会をもった。東京の都会生活者である生徒たちが農業の実際に触れ、農産物の収穫までの苦労を知ることにより、より賢明な消費者となることを目指す。また、都会と農村の生活の違いを知ることで、日本の社会の多様性を知ることも重要な点である。農業の実際を体験し、農家の人々との交流、生産の苦労、日本の農業の実際を学んだ。事前・事後学習により、体験を学びとして深めた。

③  人権・平和に係わる学習

中等科1年生の総合的学習において、「ハンナのかばん」の活動を行った。「ハンナのかばん」は、第2次世界大戦において迫害を受けたユダヤ人少女の所持していたかばんをもとにホロコーストについて書かれている。著者であり、NPO法人ホロコースト教育資料センター理事である石岡史子氏を招き、講演会を行った。生徒は事前に本を読み、ホロコーストについて学ぶ。この活動では話し合いも行い、歴史だけでなく、生徒の日常性における人権の意識を高め、個性の多様性を認めることへと視野を広げて考える活動とした。

④  福祉に係わる学習

奉仕活動・ボランティアは全校的に係わる重要事項としている。弱い立場にある人々への意識を高め、実践できる活動に取り組んでいる。

2018年度は特に、世界の聖心姉妹校と合同で「グローバルサービスデー」の活動を行い、奉仕活動に取り組み、Web上での報告を行った。

中等科2年生の総合的学習において、年間を通じて「いのち」を大きなテーマとし、障害のある人々との共生の姿勢の育成を目指した。視覚障害について、点字の専門家を招き、実際に点字を学んだ。障害のある方を招き、体験談を聞いた。筑波大附属視覚特別支援学校の文化祭を訪問し、視覚障害のある生徒達の活動を見学した。中等科3年生は高齢者体験も行い、車いす実習、疑似体験も実施し、共感できる姿勢の育成に努めた。学級ごとに高齢者施設も訪問した。立場の異なる人々と共に生きる姿勢を育むことに努め、生徒が個人でもボランティアに取り組み、関わりを持つことのできる力をつけることを目指した。

日常的にも、奉仕活動に係わる委員会の活動として、高等科と協力して、毎月の募金、リサイクル活動などを行い、支援の実践としての成果を上げることができた。

来年度の活動計画

2019年度は本校の理念に基づき、グローバルマインドを育てる教育の一環としてESD、特にSDGsについて一層の理解を深め、実践につながる活動を促し、生徒が主体的に取り組む姿勢を育てる。SDGsについて活動されている国谷裕子氏を招いての講演会を計画している。全校的にSDGsについての意識を高め、日常的な取り組み意識とし、各教科、諸活動においての創意工夫を求めたい。よい取り組みについては全校的に共有していく。SDGsを通して、生徒の課題解決能力を高め、世界の課題に主体的に取り組む姿勢を育てたい。

国際交流について新たな交流の機会を設けるなど、生徒の体験を通した学びを深める。具体的には、台湾の聖心姉妹校との交流活動を新たに計画している。

継続的に実施してきた活動についても実践しながら、ユネスコスクールとしての観点からの見直しをはかり、グローバルな視点から本校の教育を捉え直したい。それにより、目先の結果にとらわれない、グローバルマインドをもった女子を育てることを目指していきたい。