2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 環境, 平和, 人権, その他の関連分野

本園は、「豊かな自然や友達とかかわりながら一人一人がその子らしさを発揮し共に育ち合う生活を通して心豊かにたくましく生きる力を育む」という教育目標の下、『持続可能な社会づくりの構成概念(幼児版)』を本園独自で作成して子どもたちが体験できるようにした。この概念は、「受容性」「多様性」「相互性・循環性」「有限性」「公平性」「連携性」「責任性」で構成される。以下、いくつかの活動を紹介する。

①「多様性」 定義:私たちの周りはいろいろなもので満ちあふれており,いろいろなものがあることで,豊かに成り立っていること

子どもたちが,太くて黒い大きなヘビを見つけ、図鑑で何のヘビなのかを調べる。図鑑を見ながらヘビの名前を言い合っているとA女が,アオダイショウを指さす。周りにいた子どもたちが「これじゃ!アオダイショウじゃ!」と言う。B男が飼育箱に顔を近付けると,「なんか臭い!」と言っている。他の子どもも匂いを嗅ぎ,「ごまだれの匂いがする!」「ヘビくさい!」などと言いながら騒ぎ始める。

②「相互性・循環性」 定義:私たちの周りでは,私も含めて様々なものが関係し合っており,大きなつながりの環の中に私もいること

クラスの畑で育てていたキュウリが実りはじめた。子どもたちは「キュウリができてる!」と気づき,キュウリがまだ小さいときには「まだ採ったらだめ。明日になったら大きくなるから」と自分たちで話しながら,キュウリの生長を楽しみにしていた。数日待ち,適度な大きさになったので,収穫してみんなで食べた。

③「公平性」 定義:私たちが大事にしたい生活は,一人一人が大切にされながら,周りの人を分け隔てなく大切にしようとすることによって成り立つこと

年長児のお茶屋さんごっこに年少児が訪れたが,店の前で立ち尽くしている。C男が「飲みたい?」と声をかけると,年少児がペットボトルを指さす。E男が「お金,持ってきて!葉っぱでいいよ」と声をかけるが,理解できていないようである。男児たちは年少C男の手をやさしくとって草が生えているところに連れて行き,ちぎって手渡す。店に戻るとE男が,「(草を)渡したらいいよ」と教える。C男が「どれがいい?」とやさしく尋ねる。年少児が「チョコレートのがいい」と言うとC男がチョコレートのジュースを「どうぞ」と手渡す。

来年度の活動計画

平成31年度においても,本園で作成した『持続可能な社会づくりの構成概念(幼児版)』(「受容性」「多様性」「相互性・循環性」「有限性」「公平性」「連携性」「責任性」)を基に引き続き子どもたちが日々の生活や遊びの中で体験できるようにしていく。また、本園のESDにかかわる研究の取り組みや保育や環境を本園研究大会やワークショップ、国内外視察受け入れ等で広く公開する。また、広島県幼稚園教諭新採用研修会や幼小連携のための小学校教諭対象の保育公開等の実施も予定されている。その際、ESDを意識した活動実践を紀要等で紹介していく予定である。こうした取り組みを通して、ESDの実践や取り組みの普及と、ESDに興味がある幼稚園や保育園、小学校等が本園の取り組みを参考にできるようにしたいと考えている。