本校は、「未来の気仙沼市を支える人になろう~環境、防災、共生を通して~」を活動テーマに、ESDを、地域を支える人材を育成する場と捉え、総合的な学習の時間の年間指導計画に位置付け実践した。ESDの実践を通して生徒に身に付けさせたい資質や能力を、自ら課題を発見し探究する力(もとめる)、積極的に人とふれ合う力(かかわる)、他者と協力しようとする態度や力(はたす)とした。具体的には、環境、生き方を考える、共生の3点を柱に、第1学年は地域の環境と防災に係わる学習、第2学年は地域の人と関わり生き方を学ぶ体験学習、第3学年は地域の共生に係わる学習を行った。
① 地域の環境と防災に係わる活動
1学年は、東日本大震災によって悪化した身近な地域の環境を知り、震災時の避難の仕方や災害発生時に対応できる力を養うことをねらい、防災マップづくり、救急救命講習などを行った。
防災マップづくりでは、初めに地域共同教育プラットフォーム事業の活用や自主防災組織連絡協議会会長、NPO法人の方を講師に迎え、通学路の危険箇所調査の視点を学んだ。生徒を9つの班に分け、災害時における避難経路について自治会長らに同行していただきながら危険箇所調査のフィールドワークを行った。班ごとに確かめたことをレポートにまとめ,学年で発表会を行った。また、各地で相次ぐ自然災害から市のハザードマップについて学習し、校内の防災対策を調べた。新しい避難経路や校地内にある備蓄倉庫が4階にも設置すべきであるなど、生徒が疑問や課題に感じたことを探究し、ポスターセッションで報告した。
② 人との関わりを通して生き方を考える学習
2学年は、将来なりたい職業や関心のある職業について考え、市内33ヶ所の事業所で2日間の職場体験学習を実施した。地域の方との交流を通して働くことや学ぶことへの関心を高めさせ、生き方についてじっくり考える力を養い、自己理解を深めさせた。また、職業体験学習の際には、各事業所での防災対策や避難の仕方についても学習した。体験を通して学んだ職業観や生き方について、生徒一人一人が保護者を前に立志式で発表を行う。
③ 共生に係わる学習
夏休みに、気仙沼高校の生徒がリトルティーチャーとなって、小中学校の生徒に夏休みの課題解決の手伝いや、勉強を教える学習会が行われた。また、文化祭で総合的な学習の時間に行った課題研究発表を、全校生徒が班ごとにポスターセッションで行うのに向け、高校生が実演を交えながら、発表の仕方やポイントについて中学生にアドバイスを行った。本校生徒も、中学生体験会を行い、来年度入学してくる小学校6年生の児童に、中学校の授業を見学した後、英語や数学の体験授業、部活動体験などを通して、中学校生活への不安や心配を取り除いたり、中学校生活への期待感を高めたりすることを行った。