持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development)は、私たちとその子孫たちが、この地球で生きていくことを困難にするような問題をについて考え、立ち向かい、解決するための学びです。ESDは持続可能な社会の担い手を育む教育です。
ESDの実践には、特に次の2つの観点が必要です。
- 人格の発達や、自律心、判断力、責任感などの人間性を育むこと
- 他人との関係性、社会との関係性、自然環境との関係性を認識し、「関わり」「つながり」を尊重できる個人を育むこと
そのため、環境教育、国際理解教育等の持続可能な発展に関わる諸問題に対応する個別の分野にとどまらず、環境、経済、社会の各側面から学際的かつ総合的に取り込むことが重要です。
2002年の国連総会において、我が国の提案により、2005年から2014年までの10年間を「国連持続可能な発展のための教育(ESD)の10年」とすることが決議され、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)がその推進機関に指名されました。
これを受けてわが国では、日本ユネスコ国内委員会や関係省庁が協力し、ESDの推進のため取り組んできました。2006年には内閣官房に設置されたESD関係省庁連絡会議が、わが国におけるESDの実施計画を策定し、同計画に基づいて様々な関係者と連携し、ESDを推進しています。

気候変動・食糧問題・経済問題などはグローバル化した社会の中で私たちが直面する持続性の問題です。ユネスコスクールは試験的プロジェクトを通じて青少年が相互関連する社会の諸問題に立ち向かえるようにすることにより、「ESDの10年(2005−2014)」に大きな役割を担います。ユネスコスクールはESDの手法を実験的に開発・実施・記録することにより、他の学校への好事例となる手法を伝えていく上で重要な役割を持ちます。
教育は持続可能な開発の基礎です。国内外で持続可能な開発に沿った価値観・態度・スキル・言動・生活習慣・意識の改革を実現させるために教育は欠かせません。持続可能な開発は文化を基礎として社会・環境・経済の3分野を中心とします。 各国でのESDの実施方法はその国の価値観・多様性・知識・言語・世界観などに影響されます。
ESDは相互関連する複数のテーマに対応する手段です。
- 社会:社会制度の役割を認識し、社会的公正・人権・民主主義・エイズを含む健康問題などへの意識を高める。
- 環境:自然環境の脆弱性、自然資源や環境への人的影響、気候変動、水教育を含む環境保護、生物多様性への理解を深める。
- 経済:経済発展の可能性や限界、社会や環境への影響、責任ある持続可能な消費、農村開発への理解度を育てる。
ユネスコスクールでは授業でのディスカッションの他、地域に根ざしたプロジェクトも実施するなか地元のニーズに対応するばかりでなく、自己や社会に影響をもたらす力を育みます。
ESDは学校教育の1教科という狭い位置づけではなく、手法も内容とともに重視しています。ESDは幅広い総合的・包括的な学習アプローチや教育課程の中での独創的な思考を促します。
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